砂漠を緑地に変えるリビア大水路工事の受注で有名な東亜建設が事実上倒産、法定管理(日本の会社更生法に相当)を申請した。また、流動性(現金)危機に陥っている現代建設も予断を許さない状況にあり、政府は3日までにオーナー一家が私財提供などの特段の再建策がない限り法定管理手続きを踏んだ後、出資転換させる方針を固めた。
ともに韓国有数の大企業であり、関連企業への波及など経済への影響が大きいだけに、従来なら金融支援支援が避けられないところだが、「再建可能性のない企業は退出させる」という第2段階企業構造調整の大原則を適用、経済改革作業を強力に推進する意思を鮮明にした。
東亜建設、現代建設、双龍洋灰は不良兆候企業のビッグスリーとして、その帰趨が注目されていた。当初、対外的な影響も考えて海外工事の多い東亜建設への資金支援は避けられないという意見もあったが、金融監督院の幹部が絡んだ東邦信用金庫の不正融資事件が明るみになり、メインバンクのソウル銀行など債権団は先月30日、東亜建設への新規資金支援を否決した。これにより、法定管理申請を決定したが、受け入れられない場合は清算手続きに入り、55年間の歴史の幕を閉じることになる。負債総額は3兆6000万ウォンにのぼる。
これがシグナルだった。東亜建設への資金支援を拒否した債権団会議があった30日、現代建設が224億ウォンの手形決済をできず1回目の不渡りを出した。翌日なんとか資金調達して決済したが、同社の流動性(現金)危機は想像以上に深刻であることを浮き彫りにした。
政府は1日、このよう現代建設に対して最後通牒ともいうべき再建案を3日午前中までに提出するよう要求。金融監督院では、「現代建設が生き残るためには負債1兆ウォンほどを減らすことができる確信を債権団にもたせるようにしなければならない」として、鄭周永・前名誉会長の現代自動車持ち株3%、実質的オーナーである鄭夢憲・現代会長の保有株式売却、瑞山干拓地の売却などを求めている。
このような政府方針を受けて、再建団は現代の再建策が不十分だと判断されれば、とりあえず法定管理に入り、減資と出資転換などを通じて経営権を剥奪した後、新規支援を通じて再建させる案を検討している。
金大中大統領は1日、貿易投資振興会議主宰した席で、このような東亜・現代自体と関連、「建設業が沈滞し景気が萎縮するというが、建設が経済を主導する時代は過ぎた。建設企業数も適正水準を維持しなければならない」と述べ、国政最高責任者としてのメッセージを伝えた。
だが、国内経済への影響は小さくなく、下請け中小企業への支援策などの対策が急がれる。東亜建設に限ってみても、協力企業500社に2911億ウォンの未決済金額がある。特に、リビア大水路工事は第2段階工事が96%完了しているが、今後の工事の遅れなどで損害が避けられない。第3次工事の受注も事実上困難となった。国内工事も原発建設をはじめ110の工事に支障が生じる。
一方、不良兆候企業ビッグスリーの一つ、双龍洋灰は31日、日本の太平洋セメントから3649億ウォンの外資導入に成功、経営正常化の土台をつくった。この日、ソウルで本契約を結び、太平洋側は同日中に代金を振り込んだ。これにより、太平洋セメントは筆頭株主(29・4%)となり、双龍は持ち株14・3%で経営に共同参加する。
同社は98年9月、銀行主導のワークアウト(企業改善作業)指定第一号であり、再建が期待されたた。だが、債権団からの金融支援、3800人の役職員の努力にもかかわらず、建設景気が回復せず再建に失敗した。「ワークアウト企業専門経営人でありながら、受注活動をおろそかにし企業体質強化に失敗した」という批判もある。
東亜建設が設立されたのは1945年8月。68年に国営企業だった大韓通運を買収、建設と運送を主軸に成長した。特に74年のサウジアラビアを皮切りに中東建設市場に本格的に進出、大きく飛躍することになる。中でも83年に34億ドルでリビアから第一次大水路工事を受注、90年には61億ドルで第2次工事も受注するなど現代建設に次ぐ韓国第2位の建設会社の地歩を固めた。
だが、94年に発生した聖水大橋(東亜建設施工)崩壊事故を境に社勢は次第に衰えていく。97年のIMFショックが致命打となり、負債は雪だるま式に増え、無理に進出したアパート再開発事業が傷口を広げた。ワークアウトに入り、資金支援を受けて再建努力を傾けたが建設景気は回復せず受注不振に陥った。さらに労使葛藤と元会長の復帰をめぐる経営権紛争もイ影響して、没落の一途をだどった。