金大中大統領が10月13日発表される今年度ノーベル平和賞に最も近い一人として急浮上している。すでに選定作業に入っていおり、ノルウェーのNTB通信は5日、金大統領がクリントン米大統領らと並び有力候補に推薦されたと報じた。同通信によると、1950|53年の韓国戦争以来、韓半島で最も平和攻勢をかけた点が評価された。6月に歴史的な南北頂上会談を実現、韓半島平和を大きく前進させ、世界平和に貢献したことが大きな決め手になりそうだ。
金大統領は前回もノーベル平和賞候補に推薦された。民主化への努力は海外で高い評価を得ている。だが、今回は南北頂上会談実現の手腕が買われ、150人の候補の中でもクリントン米大統領、カーター元米大統領、救世軍などと並ぶ最有力候補であることで衆目の一致するところだ。
スウェーデンのノーベル財団によると、ノーベル賞は10月9日の医学賞を皮切りに物理学賞、化学賞(10日)、経済学賞(11日)の順で発表される。平和賞だけは13日ノルウェー・オスロのノーベル委員会が発表する。当初、クリントン大統領が最有力だったが、キャンプディービットでの中東和平合意に失敗、これに代わって南北頂上会談を成功させた金大統領が急浮上してきた。受賞すればアジアでは沖縄返還を実現した故佐藤栄作首相に次いで2人目。韓国ではもちろん初のノーベル賞受賞だ。
金大中大統領は98年2月25日の大統領就任以来、韓半島平和実現のため北朝鮮に対して「太陽政策」をとってきた。イソップ寓話にある「北風と太陽」。旅人のマントを脱がせるには北風よりも太陽の方か効果的だ。これにならったわけではないだろうが、①武力挑発を許さない②吸収統一する考えはない③和解と協力を積極的にすすめる||対北朝鮮3原則を宣言、着実に南北雪解けに取り組んできた。西海での銃撃戦など従来なら一挙に緊張が高まるような事件も起こったが、冷静な対応で事件が拡大することはなかった。そして今年6月13日、分断後初めて平壌に乗り込み、15歳年下の金正日総書記との南北頂上会談を実現させた。
これを国際的にみれば、冷戦後残った火薬庫、戦火再発の恐れのある紛争地帯での緊張を緩和させ、東アジア、さらには世界平和に貢献するという大きな意味がある。南北頂上会談の開催、和解と協力を確認した南北共同宣言の採択は韓国戦争後、半世紀にわたって初めて実現した快挙である。