経済閣僚を全面的に入れ替えた内閣改造が行われ、新内閣は折り返し地点に立った金大中政権後半期の国政の舵取りを担うことになった。特に、陳稔・財政経済部長官をトップとする新経済閣僚チームには、金融・財閥など4大改革の完遂という重大課題を背負っているが、その手腕に対しては「改革性が弱い」「実務性が高く柔軟性がある」といった賛否の声がある。その意味で、当面の緊急課題である現代財閥への対応が力量を占う最初の試金石になりそうだ。
9日開いた改閣後初の閣僚懇談会で、今後の政策課題として
1.金融、財閥、労働、公共の4大部門の構造改革完遂
2.経済の軟着陸誘導と持続的成長基盤の構築
3.経済政策の体系化と国家経済に対するビジョン提示
--の3つが提示された。早期に経済改革を終え、新しい成長エンジンを点火させ、21世紀に向けた将来ビジョンにまい進しようという決意だ。
だが、このためには当面の課題を解決していかなければならない。特に、金融不安の震源であり、株価指数の下落要因である現代建設の流動性危機をはじめとする現代財閥の支配構造問題の早期解決が迫られている。ところが、経済改革を強力に推進してきた改革の立役者、李憲宰・財経部長官を更迭したのは改革の後退ではないかという疑問が提起され、現代問題に手心を加えるのではないかという憶測まで出た。
これを否定するかのように、金大中大統領は改閣翌日の8日に閣議を主宰、「(政権)後半期の内閣は持続的な改革の中で(韓国が)先進国に進入できるように最善を尽くすよう」訴える中で、11日に再ストが予定されている医薬分業問題とともに現代問題について今週中に成果をあげるよう指示した。改革に例外はないことを示したものだ。
これを受けて経済長官懇談会で、経済行政を陣頭指揮する陳長官は「市場を無視する企業は生き残ることはできないが、われわれの場合にもこのような原則を明らかにしなければならない」と強調、「債権銀行団が要求した事項は市場の風を反映したものだけに、現代はこれに相応する具体的な実践計画を出すべきときだ」と求めた。
債権銀行団は現代財閥に対して、
1.系列企業の早期分離
2.強力な再建計画
3.企業支配構造の改善
--の3点を19日までの時限付で要求している。創業者一族が株売却や私財提供を含む実質的な退陣を迫ったものだと解釈されている。実際、メインバンクの外換銀行は大株主の有償増資参加を要求することで、事実上現代建設の大株主である鄭夢憲会長ら大株主の私財提供を求めている。また、鄭周永・前名誉会長の現代自動車保有株式(持ち分率9・1%)の売却問題も俎上にのぼっている。
北朝鮮から帰国後の鄭夢憲氏の対応が待たれるが、見解差の大きい現代と債権銀行団の攻防に、新経済チームが今後どう関与するのかが注目点される。政府としては現代問題を解決して新しい成長エンジンを点火できるのか、真価が問われるところだ。
「安定の中の改革」が新経済閣僚チームの基本スタンスだ。近く副総理を兼任する陳稔・財政経済部長官をはじめ、行政経験が豊富で実務に明るい布陣だ。「金融通が不在なのはおかしい」と不安がる声もあるが、陳長官は調整能力に優れチームワークを期待する点では衆目が一致している。このチームワークが重要なのは、新経済閣僚チームの課題に国民の「改革疲れ」を解消する役割があるからだ。政策が朝礼暮改式に揺れ動いたりすることがないようにし、改革を早期に終わらせるため、終始一貫した立場が必要だろう。