韓国ベンチャー企業クラブが1日、東京で創立総会を開き発足した。日本に進出している韓国ベンチャー企業の会員組織で、情報交換、マーケティング、進出企業支援などの役割を担う。会員企業14社で出発したが、11月までに40-50社に拡大、会則や事業内容などを正式に決める。韓国では月に500社を超すハイテンポでベンチャー企業が誕生しており、日本進出を希望する企業も多い。クラブのメンバーは今後さらに増えそうだ。
この日の総会には、会員社ほか関係者100余人が参加、壇上で自社紹介をする30|40歳代の各社代表のあいさつにも力がこもっていた。赴任したばかりの朴秉駿・中小企業振興公団(中振公)日本事務所長がクラブの幹事として経過報告。駐日韓国大使館と同事務所、それに進出ベンチャー企業が数回にわたる協議結果、この日の総会になった。産婆役の一人、駐日韓国大使館の李賢在商務官は、「韓国のベンチャー企業はIMF危機克服の原動力にもなった。日本はIT(情報技術)産業の巨大な市場であり、相互協力して成功してほしい」と激励した。
会員14社はほとんどがネット関連企業であり、韓国ベンチャー企業の泰斗ともいうべきメディスンジャパンほか1社を除けば昨年から今年にかけて進出したばかり。業種もネット関連中心。この分野の市場はまだまだ成熟していないだけに進出余地があると判断したようだ。韓国では史上最大のベンチャーブームを迎えており、今年5月末で7000社以上が誕生した。業種別では製造業が66%を占め、IT関連以上に多い。今後、製造業で独自の技術を持つベンチャー企業の進出も期待される。
事務局を担当する中振公東京事務所では、日本進出を手助けするため、9月初めにベンチャー企業支援センターを設置する。同センター内に2カ月間の時限付で事務機器やパソコンを備えた臨時事務所を提供する。なお、会長などクラブの役員は1O月中に固める予定だ。
【参加企業名】
▼イーサムスンジャパン▼コマース21▼イーウェブジャパン▼イーコーポレーション▼ワァコマース▼ドモネット▼フィズ▼ニュークリエイエィブ▼アイコムジャパン▼イージゲイト▼オンネットジャパン▼KTB・NETWORK・JAPAN▼ハンターネットジャパン▼メディスンジャパン
朴秉駿・中小企業振興公団日本事務所長の話
「このクラブの目的はいろいろある。日本の事情が分からなくて法人設立にも大変な苦労をしたという話も聞いているが、新たに進出するベンチャー企業の窓口になってアドバイスを行いたい。また、会員間の情報交換はもとより、日本のベンチャーキャピタルに紹介できる機能も持ちたい。そのためには、クラブにいろんな専門家が必要だ。情報発信・情報活用の基地のような組織になれればと思う。
いまはネット関連の企業が多いが、今後、製造業分野の進出も願っている。韓国にはバイオなど生命工学で優れた技術を持ったベンチャー企業も少なくない。多様な業種のベンチャーが日本で活動領域を広げられるように支えていきたい」