カタールのドーハで開かれていたWTO(世界貿易機関)閣僚会議は14日午後(韓国時間15日未明)、難航の末に閣僚宣言を採択、21世紀の世界貿易のルールを決める新多角的貿易交渉(ニューラウンド)の開始を宣言した。ニューラウンドは、農業、サービス、環境、投資、電子商品などについてのルールを2005年1月までに取り決める。韓国にとっては、今回の交渉で農業とサービス分野のさらなる市場開放が避けられず、今後の構造調整が必至だ。一方で、反ダンピング関税の乱用防止についてはニューラウンドで協議することが決まり、最大被害国の韓国としては得点を稼いだ格好だ。
今回のWTO閣僚交渉は、韓国の首席代表である黄斗淵・通商交渉本部長が「99年のシアトル会議に続き再び交渉が決裂すれば、WTO体制が揺らぐとの共通認識が形成された」と述べているように、ニューラウンド開始宣言に向けて各国が最終的には妥協しあった。来年1月に交渉のための初会議を開き、3年におよぶ交渉を開始する。これにより、自由貿易の整備が進めば米国テロ事件で不透明感が増している世界経済の活力になると期待される。
韓国が今回の交渉で最大の目標に掲げたのは、農業分野の市場開放阻止と米国などの反ダンピング措置の乱用規制にあった。農業分野では、「市場アクセスの実質的な改善」の文言を盛り込み、韓国が強く主張した「漸進的」の表現は採択されず、大幅な市場開放がさけられなくなった。また、農業、漁業に対する補助金も削減しなければならない。「交渉の結果を予断せず」という文章も入れ、食糧輸入国への配慮も示した。
今回の決定により、韓国など各国は2003年3月末までに農水産物市場開放原則に合意、開放日程を第5回閣僚会議が開かれる同年11月までに提出しなければならない。2005年からはその開放日程に基づき関税を引き下げなければならない。現在、韓国の農水産物輸入に対する関税率は平均62%に達しているだけに影響は大きい。特にコメの場合は国際相場を大きく上回る関税障壁に加えウルグアイラウンド以降、50兆ウオン以上の補助金で守ってきただけに、今後の開放に備えた対応が急がれる。農民たちは「コメの輸入市場反対」とデモが起こるなど危機感が募っている。もっとも「牛肉輸入を開放したが、輸入急増には至らなかった例からみると、コメの場合も過敏反応する必要はない」という専門家の指摘もある
だが、貿易依存度が80%に達し、貿易自由化を通じて成長を続けてきた韓国にとって、ニューラウンド開始は基本的に得るものが多いとみられる。特に、今回韓国が強くう要求した反ダンピング(不当廉売)措置の乱発防止のため、同措置の「規律の明確化と改善」を決めたことは大きい。具体的には、①無差別なダンピング調査防止②反ダンピング関税はダンピングマージンより小さくしなければならない③再審手続きの透明性向上などを取り決める。
世界のダンピング措置は1100件を超えており、10年間に2倍以上増えている。韓国は、標的になっている鉄鋼、造船、電子製品などで大きな影響を受けているだけに、今後の交渉で有利に働く見通しだ。
このほかに、サービス分野では法律、医療、教育、映像、海運、建設、流通、金融、通信などの市場開放が拡大されるが、韓国は法律、医療、教育、映像などの基盤が脆弱だ。外国人が直接法律事務所を設けたり、病院を経営する場合の影響に備えなければならない。