97年末のIMF危機後、莫大な公的資金を投入して進めてきた金融改革が最終段階に突入した。これまで不良金融機関の統廃合が進展、外国人銀行長が登場するなど韓国金融機関は面貌を一新した感がある。99年以降一向に進展しないソウル銀行と大韓生命の海外売却などが残っているが、金大中大統領が28日の閣議で公的資金を投入した銀行など金融機関を早期に民営化するよう指示したことで、年内にこれら機関の身売り先を決めることになりそうだ。またこの民営化作業を背景に、長年の論難の対象になっている財閥の銀行経営に道を開く法改正作業も始まるなど、目の離せない展開となってきた。
金大統領は青瓦台(大統領府)で開いた閣議で、「外貨危機を迎え、金融機関の不良問題を解決するため多くの公的資金を投入した結果、政府の本意ではなく金融機関を所有するようになったが、これは市場経済原則や国際的基準、金融業のサービス業という側面で非正常的であり、望ましくもない」と述べ、「金融機関の政府所有を終結させ、民営化できる計画を立て実践するよう」指示した。
政府は当初、来年下半期(7―12月)に民営化に本腰を入れる計画だった。これまで低迷する株式市場の状況などを考慮して早期民営化を躊躇してきたが、多少の損失は覚悟の上で公的資金の早期回収に踏み切ったようだ。金大統領は特に、ソウル銀行と大韓生命の早期処理を急ぐよう督励しており、金融改革の早期完了に強い意欲を窺わせた。ちなみに、98年から今年6月末までに金融・財閥改革のため投入された公的資金は137兆ウオンにのぼり、回収額はまだ34兆ウオンにすぎない。
一方で、金融機関の民営化を進める上で大きな課題になっているのが国内財閥の銀行所有問題だ。銀行経営を強化するためには主人がいなければならず、財閥の銀行株式所有制限を緩和すべきだという要求がかつてから強くあった。
今回、これに対する一つの回答があった。財政経済部の用役依頼を受けて金融研究院が28日の公聴会で発表した銀行法改正案がそれだ。
同改正案の最大のポイントは、銀行所有に関して同一人の銀行株所有上限を現行の4%から10%に拡大、財閥に対しても2年以内にグループの製造業の比率(自己資本基準)を25%以下に引き下げ金融専業グループに主力業種を転換するなどの条件付きながら10%所有を認めている。
財閥に銀行所有の道を開く改正内容であるが、50大財閥を見渡してもこのような条件を満たすグループはほとんど見当たらない。財界消息筋によると、かかろうじて東洋、東部、双竜、大信、教保生命、東遠などがその対象になりうるとみているが、サムスン、LG、SKなどビッグ財閥にとってはほとんど充足できない条件だ。
このため、財界サイドでは、「これでは事実上財閥の銀行経営を法的に締め出すものにほかならず、何の意味もない改正だ。もっと現実的にかのうなように緩和すべきである」との批判の声が強いが、銀行経営に挑戦する財閥が出ないとも限らない。