韓国映画のルネッサンスが到来しようとしている。日本でも公開された「シュリ」、「共同警備区域―JSA」などの相次ぐヒットで急速に拡大した韓国映画市場は今年もメガヒットの「チング(友達)」に次ぎ「武士」など話題作が目白押しであり、今年の観客動員数は史上初の8000万人を突破する見通しだ。第一製糖、東洋製菓、ロッテなど財閥資本も本格的に参入、ハリウッド式のスタジオ制作システムに動き出すなど韓国映画産業が有望産業として巨大化しそうだ。
制作費820億ウオン、観客動員数8000万人、スクリーン(上映館)数840。これが現在の韓国映画産業の現状をあらわす数字だ。
これまで韓国映画の制作費は1本にかけても数億ウオンだった。だが、最近では「チング」をはじめ20億ウオン台のヒット作が相次いでおり、17日公開予定の話題作「武士」は70億ウオンにのぼる。韓国映画史上最大の100億ウオンに達する超大作も登場した。
韓国映画が制作費をかけても儲かるようになったからだ。8年前の93年に大ヒットしたパンソリ旅芸人の物語「西便制」が103万人の観客を動員、話題を呼んだ。だが、最近では「シュリ」620万人、「JSA」580万人、そして「チング」が814万人で史上最高を記録した。釜山を舞台にした男4人の友情の物語「チング」は実に国民の6人に1人以上が見たことになる。
昨年の観客動員数は7000万人だったが、今年は8000万人に達する見通しだ。韓国映画の話題作が潜在的な観客層を掘り起こした結果であり、先週末の土、日は話題作「猟奇的な彼女」と「新羅の月夜」を上映したソウルの映画館はどこも超満員だった。「猟奇的な彼女」は封切り18日間で260万人を突破する大記録を打ち立てており、6月23日からロングランを続けている「新羅の月夜」はすでに420万人を突破した。今夏の洋画の話題作「AI」や「ジュラシックパークⅢ」を抑えて人気ランク1、2位だ。
洋画の観客動員も伸びているが韓国映画の爆発的な人気により観客に占める韓国映画の比率もソウルの場合で今年上半期(1―6月)で38・3%に達し、昨年同期の25・8%を大きく上回った。年間では40%を超し50%台に達すると見られている。
観客増を背景にスクリーンも増加、昨年の720から今年末までに840に増える見通しだ。映画館のスタイルも現代的な装いになっており、快適な空間を楽しめるのが観客動員増に結びついているとの指摘もある。特に、洋画に対する国内メジャーの配給力も強まっており、最大手のシネマサービスと第一製糖系のCJエンタテインメントの登場で100以上のスクリーン動員が可能になった。
韓国映画の人気は娯楽性とエンタテインメント性が強まったことがある。もっともこれに対しては商業性に走りすぎて映画のも芸術性がなくなるのではないかという指摘もある。こうした中、財閥系資本の進出も本格化している。中でも、国内配給メジャーで第一製糖系のCJエンタテインメントは、制作、配給はもちろん劇場までをもつハリウッドのスタジオ型に向かうのではないかとみられている。
東洋製菓は自社の制作プロジェクトチームを結成、映画制作に本腰を入れている。また、ロッテはすでに5地域に劇場を運営しているが、これをさらに拡大する方針であり、今後の財閥資本の動きが注目される。