北京が2008年オリンピック開催地に決まったことで、今後中国では本格的なインフラ投資が始まり、経済成長率を年平均0.3%押し上げる効果があると試算されている。韓国ではこのような北京五輪特需で、韓中貿易が現在の3倍の1000億㌦に達するとの予測も出ている。すでに経済界は新たな市場確保へ向け対中進出を活発化させており、政府も9月に北京で開く韓国商品展示会に際し大型の調査団を派遣する計画だ。また、韓国貿易協会と各業種団体も加わる特別チームをつくり、対中輸出・投資拡大策に取り組み出した。北京五輪は韓国経済にとって大きな刺激剤だが、五輪開催を契機に中国が手ごわい競争相手国になることも間違いないため、この面での対策も必要になりそうだ。
産業資源部は北京五輪を想定して「中国のオリンピック誘致が韓国経済に及ぼす影響」と題する報告書をまとめ、「地理的・文化的隣接性とソウル五輪などの経験を土台に、韓国が北京五輪最大の受恵者になるだろう」と分析している。中国は五輪関連投資と外国人投資誘致などに力を入れ、2008年までに年平均8%以上の経済成長を達成、これにより韓国の対中輸出も年平均15%の増加が見込めるとの分析だ。
この分析によれば、対中輸出は昨年の185億㌦から565億㌦へと3倍以上増え、韓中貿易も313億㌦から1025億㌦に増大する。有望な対中輸出品としては、鉄筋、セメントなどの建設資材以外に、▽デジタルテレビ、PDP(プラズマディスプレーパネル)、放送機資材、コンピューター、光ケーブルなどのデジタル家電▽バス、自動車、電動車両など輸送機械と高級耐久消費財▽通信装備、携帯電話など情報通信機器▽集塵器、排水処理施設など公害防止設備――などをあげている。
また、ホテル、空港、高速道路などの建設に韓国建設業者の参加が期待できるとしている。
現在の対中輸出品は、石油と石油化学関連が中心であり、電子関連などのこう高付加価値製品は輸出量が低水準だ。事実、昨年の対中輸出品目トップテンをみると、11億㌦を輸出した石油が1位であり、2位ブラウン管、3位ポリエチレン、4位半導体、5位紙、6位ポリプロピレン、7位ABS樹脂、8位スチレン、9位染色織物、10位VTRの順だ。
中国では経済建設のため石油、石油化学製品の需要が旺盛だが、輸入代替産業の育成に本格的に取り組んでおり、原油精製設備の新増設が相次いでいる。このため、韓国としては今後石油関連製品に代わる付加価値の高い製品に対中輸出品目をシフトする必要に迫られていた。北京五輪による新たな需要喚起はその契機をつくったといえる。
13億人をかかえる世界最大の人口大国であるだけに、その需要潜在力は桁はずれに大きい。産業資源部関係者は、「中国が今年11月に世界貿易機構(WTO)に加盟し、五輪を成功裏に開催すれば2010年のGNP(国民総生産)は2兆㌦に達する見通しだ。今後10年間は東北アジアの需要を持続的に創出するエンジンの役割を果たすだろう」と指摘する一方で、「韓国企業は地理的に近い利点を生かし合弁投資や共同開発などで中国と戦略的な産業協力を拡大し、スポーツマーケティングなどを通じて自社ブランドで対中進出すべきだろう」と強調した。