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2001/05/25

<総合>現代建設 非オーナー体制で再出発

 現代グループの親企業としてグループ支配の中核だった現代建設が、現代一族以外からCEO(最高経営責任者)を迎え入れた。公選で選ばれた沈鉉榮CE(62)は、21日の就任後の記者会見で7月に現代グループから系列分離し、金剛山観光など対北朝鮮事業に対する資金支援も中断すると明らかにした。現代グループから離れ、新たな独立企業として再起を期すことを鮮明にしたものだ。また、あえて「現代建設」の社名は変更せず、ロゴもそそまま使い、故鄭周永氏の創業精神を維持することも決めた。

 現代建設は韓国最大のゼネコン(総合建設会社)で、韓国の高度成長を牽引した企業の象徴でもあった。だが、IMFショック以降の建設不況や海外建設工事の未集金などで経営が悪化、昨年から流動性危機に見舞われてきた。政府も経営陣の退陣などと引き換えに大幅な金融支援を決め、18日の株主総会で正式に減資が議決され、この段階で鄭夢憲会長との関係も清算されることになった。

 外換銀行など債権団が、オーナー側の反発を抑えて財閥企業のCEOを公開募集したこと自体が異例だが、CEOに選ばれた沈鉉榮・現代エンジニアプラスチック社長は、現代建設社長を短期間務めたことがあり、当時は鄭夢憲会長との不仲説もあった。

 沈新任CEOは、「現代建設は事実上、現代グループから分離したことになる。技術的な業務上の協力関係は維持するがグループとの資本取引は一切なくなる」と述べ、オーナー支配からの脱却を印象づけた。7月初めも公正取引委員会に系列分離を正式に申請する予定だ。

 沈新経営体制にとって、当面して経営再建が最大課題だが、まず今月中に長期運営計画を樹立する専担チームを構成、CFO(財務担当最高責任者)を選任するなど経営体制の整備を急ぐことにしている。再建の方向について沈CEOは、「果敢な組織改革・リストラを通じた収益中心の営業でかつての名声を蘇らせたい」と述べ、①現場別の独立採算制導入②分社化を通じた事業構造の改編などを打ち出した。今後、組織のスリム化が進められことになるが、「付加価値の高い部門には人員と資本を集中する。逆に収益の低い部門は縮小する」とメリハリをつけており、「無理な外形中心の受注から内実中心に経営体制を変える」とも力説している。特に、生産性向上に本格的に取り組む考えだ。現代建設の今年度売上予想額は6兆5000億ウオンだが、役職員は5400人に達し、1人当たりの売上額は12兆ウオン水準だ。これを先進国水準の年内までに15億ウオン水準に引き上げたいとしている。そのためにも構造調整に全力を入れる方針だ。

 この間、現代建設の経営危機は韓国経済に大きな影響を及ぼしてきた。最近、東亜建設の廃業が決まるなど建設業界の環境は相当に悪い。それだけに経営刷新が緊要だったが、新生・現代建設の再建へ向けて沈CEOの舵取りが注目される。