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2001/03/30

<総合>仁川国際空港がオープン

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    24時間運営体制の仁川国際空港

 21世紀東北アジアのハブ(拠点)空港をめざす「仁川国際空港」が29日早朝、開港した。午前4時46分バンコク発アシアナ航空OZ3423便が第滑走路に着陸、同8時30分にはマニラに向けて大韓航空のKE621便が滑走路を飛び立った。7兆8000億ウオンを投入、韓国最大の国策事業として92年に着工、8年4カ月ぶりに開港した同空港は、日本の成田・関西空港の2倍の大きさを誇る。年間2700万人も輸送でき、最終的には年間1億人の旅客処理能力をもつ世界有数の空の玄関口になる。

 到着便の1号となったOZ3423便の乗客245人が降り立った9番ゲートでは、全員に花束や記念品を贈る記念行事が呉長燮・建設交通部長官らが出席し行われた。乗客の一人は「この歴史的な仁川空港のオープン第一便に乗れて嬉しい」と記念品を手に顔をほころばせた。開港初日は合わせて287便の航空機が離着陸した。

 永宗島と竜游島の間の海を埋め立てて造成された仁川国際空港の敷地は、汝矣島の面積の18倍にあたる5610平方㍍に達する。

 全長1066㍍の旅客ターミナルは時間あたり6400人の旅客と8400個の出荷物を処理する能力をもっており、出発ゲートには252のチェックインカウンターが設けられた。

 南北の方向によって配置された2本の滑走路(全長3750㍍)の東には年間170万㌧の貨物を処理する貨物ターミナルがある。

 24時間体制で運営される同空港は、人口2000万人の首都圏を背後においており、飛行時間3時間30分の半径内には人口100万人以上の都市を43もある。これは、ハブ空港として大きな利点だ。今後、2020年まで年間1億人の旅客と700万㌧の貨物、53万回の航空機の離着陸を処理できる世界でもトップクラスの空港となる予定だ。

 姜東錫・空港公社社長は「世界の主要航空路線である東北アジアで、米国への路線と欧州路線の最前線に位置した仁川空港は、24時間無中断の体制と先進の施設とサービスを提供、東北アジアのハブ空港として役割を担っていく」と語った。

金浦空港は国内線に 

 60年代初めから韓国の空の玄関であった金浦空港は、仁川国際空港の開港とともに40年間の国際空港の歴史を閉じ、国内線専用空港として新たに生まれ変わった。

50社就航1日の発着354回

 仁川国際空港に就航する航空会社は、金浦空港に比べて2社多い48社(235路線)で、建設交通部に運航を申請中のローヤルネパール航空と海南航空の就航が決定すれば50社となる。

 24時間体制で運営される仁川空港の航空機の離着陸回数は1日平均354回(旅客機295回、貨物機59回)で、金浦空港の250回に比べて100回以上も増える。しかし仁川空港の国内線の乗換え線は、釜山と済州島だけしかない。

 仁川空港の旅客の出入国手続きは、金浦空港で実施されていた入国者の携帯品の保安検索が廃止されるなど簡素化される。

 金浦空港と大きく違うのはターミナル内の商業施設。合わせて176の売り場が設置された。みやげ物店、旅行用品、衣類、レストランが軒を連ねる。また企業向けに会議室などの施設をもったビジネスセンターと情報通信センターがあり、90室規模のホテルも完備された。

巨大な旅客ターミナル

 仁川空港の旅客ターミナルの総面積は約46万平方㍍、建物の全長は1066㍍、高さ33㍍、幅149㍍で単一の建築物としては国内最大規模を誇る。総面積で汝矣島の63ビルの3・1倍。

 管制塔の高さが100・4㍍は全世界の空港の中で3番目に高く、完備された駐車場は1万5000台の収容能力をもつ。

 空港建設に投入された人員は1日平均で1万3000人(多いときで1万8000人)。


解説

 40年にわたる金浦国際空港の時代が幕を下ろし、それと同時に幕を開けた仁川空港時代は、韓半島が21生気の世界化時代において旅客と貨物、情報の中継基地としての地位を先取する基盤を整えたことを意味する。

 仁川空港の開港は、陸路を通じて大陸への続く京義線の復元や、世界3位のコンテナ埠頭として発展している釜山と共に、陸・海・空を通じて全世界へと向かう道となる。

 仁川空港は特に飛行時間3・5時間の圏内に、人口100万人以上の都市が40以上分布しており、ボストンやニューヨークなど米東部までノンストップで運航が可能なため、中間での寄着が余儀なくされていた香港やシンガポールの空港よりも地政学的にも有利な位置にある。

 有利な地理条件と最先端の設備を基盤に、徹底した安全点検と管理、効率的な運営で、全世界の航空会社と乗客を導き韓国の新しい空の玄関口としての役割を期待したいが、荷物の処理システム(BHS)などに誤作動が発生するなど課題も多い。空港までのアクセスも問題だ。空港へは専用の高速道路が通じているだけで、交通事故や、降雨、降雪といった悪天候で、予想される交通麻痺が心配される。高速道路を運営している新空港ハイウェイ(株)は随時非常体制をとり、警察や救急隊と連係して、事故発生後40分以内に事故を収拾し、大雪に備えて40台の除雪車と10台の融雪水散布機を装備している。

 交通アクセスを解消するために年内にも着工される空港鉄道1次事業(仁川空港―金浦空港38・7㌔区間)が終わるのは、2005年、2次事業(仁川空港―金浦空港―ソウル駅61・5㌔区間)が完成するのは2008年の予定だ。この間の対策が急がれる。