IT(情報技術)関連を中心に韓国ベンチャー企業の対日進出ラッシュが続いている。日本より先行したネット技術力などを武器にビジネスチャンスを探ろうというもので、現在も100社以上が進出機会をうかがっている。産業資源部と中小企業振興公団は20日、そんなベンチャー企業を支援する「韓国ITベンチャーセンター」を東京のオフィス街、虎ノ門にオープンし、本格的な支援を開始した。
このベンチャーセンターは、中小企業振興公団の日本事務所が管理・運営し、入居企業の日本でのビジネスをサポートする。第11森ビルの9階にある同公団と隣合わせに位置し、165平方㍍のスペースがある。現在、定員の10社が入居、ここを拠点に日本企業との提携、投資誘致などの事業展開をすることになる。
海外の企業が日本に進出する際のネックとして、高い物価がある。
すでに進出した韓国企業からも、「物価が高いため、まず事務所を確保するのが容易でない。それに備品も揃えなければならず、どうしてもコストがかさむ」という話をよく耳にする。このセンターは、机、椅子はもちろん、電話やネット回線などを提供、家賃も格安だ。
同公団東京事務所の朴所長は、「今回は入居希望者が22社にのぼった。選定から外れた12社は空きを待って待機状態だ。当センターでの入居期限は原則6カ月で、最大でも1年だ。早く事業を立ち上げ、独自に拠点を構えてほしい」と話した。
入居している社10は、ネット関連だけでなく生命工学や放送システムのベンチャー企業も含まれている。特に、ネットCTIソリューション専門のアンサー・コミュニティーやネット枠保安進入探知システム企業のインゼンなどの有力ベンチャーがどんな対日進出を展開するのかが注目される。
20日のオープン式には、このような入居企業代表ら150余人の関係者が集まり、盛大に祝った。中小企業振興公団の金裕采理事長は、「韓国のベンチャー企業は韓国経済の新しい機関車の役割を担っており、日本企業との敵系を希望している。彼らに最低限の事業空間を提供、日本で安定的に根を下ろせるように支援したい」とあいさつした。
また、趙煥益・産業資源部長官は「ソウルのシリコンバレーと東京・渋谷のビッドバレーを結ぶ懸け橋の役割を担い、これを契機に韓日ベンチャー協力が進展することを期待したい」と激励した。これに対して、このセンターから徒歩5分ほどの所に位置する日本中小企業総合事業団の木下博生理事長は、「日本経済に活力をもたらすためにもベンチャー育成が必要だ。当事業団でもベンチャー支援センターを運営しており、虎ノ門をタイガーバレーにしよう」と呼びかけた。
「これからはどちらが上か下ではない。お互い協力して成功するのがITベンチャー分野ではないか」(金・現代ジャパン社長)という指摘にもあるように、ベンチャー交流は韓日経済協力に新たな地平を切り開く可能性を秘めている。すでに韓国のベンチャー企業は50社ほどが日本に進出しており、昨夏にはコリアベンチャークラブ(会長=文廷翼メディソンジャパン社長)が発足した。関係者の一人は、「今回のITベンチャーセンターの規模は小さいが、新しい時代の先兵役が期待されるだけに成功物語をつくってほしい」と期待をかけた。