金大中大統領は、改正された政府組織法の施行に伴い、副総理兼財政経済部長官に現職の陳稔財政経済部長官、副総理兼教育人的資源部部長官に韓完相・尚志大総長をそれぞれ任命した。
新設の女性部長官には韓明淑・民主党議員を起用した。金大統領は任命状を手渡した席で、「経済回復」「知識強国」「女権伸長」を実現するよう強調した。
当初、大幅な改造人事になるとの予想もあったが、今回は補閣にとどめた。大統領執権後半期を迎える3月初めにも国政を一新する大規模な改閣の可能性がある。(3面に関連記事)
今回の閣僚人事について、青瓦台(大統領府)の朴スポークスマンは、「陳稔副総理の場合、2月末までに(金融、財閥、労働、公共の)4大部門の改革作業を仕上げ、経済の基本枠を固め、金融・企業改革を一貫して推進できるようにするため再任した」と説明した。
また、青瓦台の別の高位関係者は、「3月初めに予想される改革でも陳副総理は留任されるだろう」と語った。陳副総理は当初、昨年来の経済危機論も出る景気急降下の責任をとって更迭されるのではないかとみられていた。
金大統領は、今年に入って景気が上向いており、経済改革を早期完了するには行政能力に秀でた実行力のある陳氏が適任だと判断したようだ。
教育副総理に韓完相氏を任命した点について同スポークスマンは「韓氏は改革性と斬新なアイデア、積極的で意欲的なリーダーシップなどを考慮に入れ、21世紀に合った人的資源開発、国民教育の適任者として抜擢した」と明らかにした。
韓明淑女性部長官任命については、「女性界で代表性を認定されており、党(民主党)でも積極的に推薦した」と説明した。
金大統領は、3人の新任閣僚に対して、「4大改革を責任をもって行うように。うまくできれば国家に大きな貢献となるだろう」「知識基盤強国を建設しなけらばならない。
そのためには教育の裏づけが必要だ」「知識基盤社会は女性が男性と全く同じ能力を発揮できる時代だ」と強調した。また、今回の補閣を契機に、内閣を経済・外交安保・教育人的資源・社会の4チーム制で運営する方針を明らかにした。
今回の人事でもっとも大きな変化は、財政経済部長官が経済副総理に昇格し、法的にも保障される実質的な経済部署のトップにつくことだろう。これにより経済政策の調整機能を強め、構造調整だけでなく対外政策と国内政策を包括する経済司令塔の役割を果たすことになる。
予算権がないので調整力には限界があるとの指摘があるが、これに対して陳副総理は「今後は合理的なビジョンと政策提示で各部署を説得する」と明らかにしている。
一方、これまで28の部署に分散していた人的資源開発機能を統括・調整する教育人的資源部は、知識基盤社会の国家競争力を左右する人的資源体制に中心になる。人的資源開発促進法なども制定、本格的に取り組む考えだ。
女性部は、マクロ的な女性政策を企画して、政府各部署に散在している各種女性政策を統括・調整する韓国女性政策の司令塔の役割を果たす。女性部内に独立的な地位の男女差別改善委員会を設置、実態調査にも乗り出す。