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2002/11/15

<総合>2010年万博 麗水と上海の一騎打ち

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             麗水万博の完成予想図(一部)

 オリンピック、ワールドカップと並ぶ世界3大イベント、世界博覧会(万博)誘致をめぐり、韓国は票獲得に総力を傾けている。2005年の愛知万博に次ぐ2010年の万博開催地を決める第132回BIE(国際博覧会機構)総会が12月3日にモナコで開かれる。残すところあと2週間余。韓国は全羅南道の海洋都市、麗水に誘致すべく2年以上にわたり活動を展開してきたが、強力な競争相手となった中国の大都市・上海との決戦投票になる可能性が高いと見られている。

 2010年万博に名乗りをあげているのは韓国(麗水)、中国(上海)、ロシア(モスクワ)、メキシコ(ケレタロ)、ポーランド(ブロツワフ)の5カ国。アルゼンチンは経済悪化のため脱落した。現在、有力開催地は、韓国、中国、ロシアの3カ国。

 特に、昨年WTO(世界貿易機構)に加盟、2008年北京オリンピック開催を決めた中国が最大の強敵だ。ロシアもヨーロッパと東欧票を固めているといわれ、総会では第1回投票では89会員国の3分の2以上の支持評を得るのは難しく、決戦投票にもつれ込む可能性が高い。韓国の万博誘致団は、この決戦投票にロシアが脱落、韓国と中国との争いになると想定し、最後の追い込みをかけている。

 韓国の万博誘致のスローガンは「新しい共同体のための海と陸の出会い」。人口32万の韓国の歴史と文化に彩られた海洋都市、麗水こそその最適地だとアピールしている。

 人口1700万人の上海に比べ麗水の人口は極端に少なく、知名度がない地方都市である。こういった不利な点もあるが、地球社会は環境を重視する時代に入っており、山と海に囲まれた豊かな自然環境が残る地方都市で開く意義は大きい。

 また、韓国は88年にソウル五輪を開催した経験があり、93年には科学万博の大田エキスポを開いた実績もある。さらに、まだ記憶に新しいサッカー・ワールドカップの大成功がある。ビッグイベントの開催能力、運営能力は自他共に認める実証済みだ。世界的なイベントを韓国で開くことで釜山アジア大会でのように北朝鮮も参加し、韓半島平和、世界平和に貢献するという効果もある。  

 今回の万博誘致で韓国は官民を上げて取り組んでいる。政府は海洋水産部の次官を団長とする誘致団が活動を展開しているが、大統領をはじめ長・次官ら政府高官らも外遊先でアピール。民間も経済5団体、4大財閥グループをはじめ民間企業のトップが欧州、アジア、アフリカ、中南米と地域を分けて誘致活動を展開。鄭夢九・現代自動車グループ会長が委員長を務める誘致委員会を援護射撃。「会員国は総会10日前には支持国家を決めるのでもう大勢は決まっているが、当初の劣勢を挽回、中国に逆転できるところまでもってきた」と関係者はとみている。