安定か変革か――。国論を二分した第16代大統領選挙は、「新しい韓国をつくろう」と訴えた与党・新千年民主党の盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補(56)が勝利した。投票は19日全国1万3471の投票所で午後6時に締め切られ、即日開票の結果(20日午前1時現在集計、開票率99・9%)、1201万1544票(48・9%)を獲得した盧候補が接戦の末、1143万9131票(46・6%)の李会昌候補に56万票の差をつけ大統領に当選した。北朝鮮の核開発凍結解除で選挙戦は対外的にも大いに注目されたが、太陽政策の継承・発展を掲げた盧大統領の誕生で南北間の対話のパイプは今後太くなりそうだ。
大接戦が予想された選挙戦だったが、開票から4時間後の午後10時前にKBSが盧候補に当確を出し、その後ソウル地域の開票が進むにつれ票差は広がっていった。投票前夜にパートナーの新党・国民統合21の鄭夢準代表が盧支持撤回というハプニングがあり、盧候補陣営は緊張したが、危機を感じ取った若者世代と進歩陣営である民主労働党の権永吉候補支持者の票が盧候補に流れた。
投票率は70・8%(暫定値)で、前回97年の80・7%をほぼ10ポイント下回り、71年の79・8%以来、歴代大統領選挙戦で最も低かった。これは、若者の政治離れに加え、盧候補の支持を撤回した鄭代表支持者の多くが棄権した影響も大きい。
今回の選挙戦は事実上の一騎打ちとなり、1987年の直接選挙制導入以降、初の過半数得票が実現するか注目されたが、盧候補の得票率48・9%はそれに限りなく近い数値となり、金大中大統領(40・3%)、金泳三大統領(42%)、盧泰愚(36・6%)の得票率を大きく上回った。盧候補は午後10時半ごろ、ソウルの党本部で会見、「李会昌氏に投票した人を含め国民すべての大統領として全力を尽くします」と述べたが、国民統合の一歩になることが期待される。だが、盧候補は地域主義の打破を訴えたが、地域別得票数をみると地域主義が依然と解消されていない現実を浮き彫りにした。それは盧候補が光州(95%)や全羅南道(93%)、全羅北道(91・5%)の圧倒的支持を得たが、逆に李候補は大邱(78%)慶尚北道(73%)、慶尚南道(68%)、釜山(67%)という高い支持を得た。この地域主義の解消に盧候補がどう挑戦するのかは大きな注目点だ。
選挙戦は、盧候補を支持する3500万有権者の半数近い20代、30代の若者と李候補を押す50代、60代の世代間対決の様相も示したが、米兵による女子中学生死亡事故などもきっかけになり政治意識の高まりをみせた若者世代の勝利に終わった。今回の選挙で3金時代が終焉し、政治をはじめ社会全般にわたり変化と改革のうねりが大きくなることを予見させるものだ。