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2002/12/13

<総合>終盤戦の大統領選挙 行政首都移転で激しい攻防

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    10日合同テレビ討論会を前にしたハンナラ党の李会昌、新千年民主党の盧武鉉、民主労働党の権永吉の3候補(左から)

 第16代大統領選挙戦の終盤を迎え、盧武鉉候補が公約として掲げた行政首都移転問題がホットな争点として浮上、10日のテレビ討論会でも賛否をめぐる舌戦が繰り広げられた。また、歴代の選挙と比べ、いまだに投票者を決めていない浮動票がかつなく多いことが判明、選挙戦は最後までもつれ込みそうだ。テレビ討論会で表れた経済政策の違いを洗ってみた。

 ハンナラ党の李会昌候補、新千年民主党の盧武鉉候補、民主労働党の権永吉候補による第2回テレビ合同討論会(経済分野)では、廉載鎬・高麗大教授の司会のもと行政首都移転、財閥改革、貿易開放、家計負債問題などをめぐって2時間にわたる攻防が戦わされた。


 ◆ 行政首都移転

 李候補は、「国会と政府が全部移転すればソウルは空洞化され、不動産価格は下落、住宅を銀行に担保として出している庶民が苦痛を強いられるなど経済を混乱させるもとになる。また、移転費用も問題だ。70年代の全羅南道庁移転に2兆5000億ウオンかかり、朴正煕大統領時代に検討された行政首都建設費用も5兆ウオンだった」と非現実性を攻撃した。権候補も、これに加勢して「6兆ウオンでどうして行政首都を建設できるのか」と批判した。

 これに対して盧候補は、「行政機能だけを忠清圏(忠清南・北道)に移すのであって、ソウルは経済首都として残る。これによって、肥大化したソウルの人口集中問題が解決される。ソウル周辺に新都市として建設された盆唐と一山の建設にかかった費用はそれぞれ2兆5000億ウオン、4兆ウオンだった。6兆ウオンで建設は可能だ」と反駁した。この行政首都移転問題は、盧候補が8日に大田で記者会見をもち選挙公約として発表した。2003年から10年計画で推進、執権すれば人気末の2007年までに新行政首都の敷地造成とインフラ構築を完了する考えだ。費用は、土地買収・基盤造成に4兆2127億ウオン、政府庁舎建設委1兆2501億ウオン、その他公共機関設置など5700億ウオンを想定している。建設候補地は大田と忠清北道・清州の中間地点が考慮されている。


 ◆ 財閥改革

 盧候補は財閥改革について、「ハンナラ党が出資総額制限、集団訴訟制導入と系列分離などに反対し、改革を後退させようとしている」と批判。これに対して李候補は、「すぐる5年間の政経癒着と官治経済でむしろ財閥を育てたのは民主党政権だ」と反駁した。権候補は「財閥は解体の対象であり、労働者が株式所有を通じて経営に参加できるようにしなければならない」と主張した。


 ◆ 成長と分配

 李候補は、「成長と分配は相反するものではない。年平均6%成長を達成できる潜在力を育てなければならない。そうしてこそ、10年内に1人当たりGDP(国内総生産)2万5000㌦の先進国に進入できる。科学技術と人的資源が成長エンジンだ」と強調。盧候補は、「李候補の戦略は狭い。ベトナム特需、中東特需を謳歌したように中国を市場として活用、東北アジア特需をもたらさなければならない」と力説した。これに対して権候補は、「2人の候補は数字遊びをしている。99年にわが国は10%成長したが、その都市に整理解雇が最も多く、野宿者が増えた。分配を通じた成長をしなければならない」と反論した。


 ◆ 中年層で浮動票急増

 浮動票を狙え!今回の大統領戦の最大の特徴のひとつに浮動層が急増していることが指摘されている。メディアリサーチなど世論調査機関専門家によると、投票日が近づくにつれ浮動票が減ったこれまでの大統領選挙と異なり、今回はむしろ浮動票が増えており、有権者の25%(870万人)を占めていると推定されている。地域的には忠清圏が最も多く、大邱・慶北圏、首都圏も比較的多い。年代別では50代、60代以上で浮動票が多いのが特徴だ。3金時代の終焉で、特定候補に対する彼ら中・高齢層の忠誠度が弱まったのが要因だ。


 ◆ 財界の目-3候補の政策を比較分析

 経済政策はどの候補がすぐれているのか――。今回の大統領選挙に対する財界の見方を示す資料が韓国経営者総協会から発表された。「主要大統領候補の公約比較・分析」のタイトルで会員4000余社に配布。

 主要候補の公約を分析した結果、ハンナラ党の李会昌候補は経済成長を強調する経済中心型、新千年民主党の盧武鉉候補は社会統合に重点をおく分配中心型、民主労働党の権永吉候補は労働者階級を代弁する労働者中心型であると色分けした。

 経済団体が大統領候補の政策を比較・検討した文書を公開したのは今回が初めてで、各候補の公約集や各種討論などで発表された公約を総合的に分析している。3候補の経済観、企業観、労使観、福祉観などで次のような目立った差があるとしている。李候補の場合、経済観で市場機能を最大限生かし、政府の介入を縮小するという立場であり、労働部門では法と原則に立脚した自律的労使関係を主張。また、福祉分野で市場原理による社会的リスクを分散できるように個人の責任と能力を強調している。

 盧候補は、経済政策で社会的連帯を強調し、ある程度の政府介入を認定している。労働部門では政府主導型の労使関係の政策を強調。弱者に対する福祉により重きをおいている。権候補は市場原理に強い拒否感を表明しており、労働部門では民主労総をこんかんとしている民主労働党候補という点で労働者中心の政策で一貫している。福祉は国家責任を強調。

 経営者総協会関係者は、「今回の公約評価は、どの候補が本当に市場経済暢達を通して企業と国家発展に寄与できるかを正確に判断することが目的だ」と説明した。