対中輸出は急増しているが、対日輸出が激減する異常現象をみせている。韓国貿易協会によると、今年1―9月の対日輸出は163億6800万㌦を記録、前年比19・6%の伸びを示した。特に9月は39・5%の爆発的な増加だ。逆に対日輸出は110億600万㌦にとどまり13・9%の大幅減となった。特に対日輸出は減少しても対日輸入は増えているため貿易赤字が拡大、今年は97年のIMF危機以来最大の130億に達する勢いだ。対中輸出好調、対日輸出不振はこの数年間の顕著な傾向であり、対米、対日輸出をテコに成長してきた韓国の貿易構造は大きく変わろうとしている。
対中輸出が対日輸出を金額ベースで昨年初めて上回った。対中輸出181億㌦、対日輸出165億㌦で、その差16億㌦だった。そのとき、「これは一時的現象。まだ日本市場の方が大きい」という見方もあったが、そう言う人はもういない。今年1―9月末現在の輸出差が53億㌦に広がっているからだ。
韓国企業の対中攻勢は勢いがつく一方で、最近もサムスン電子が22日から北京で大規模なデジタルショーを開き、液晶やパソコン、携帯電話、ホームネットワーク家電などをアピール、話題を呼んだ。ちなみに、中国が今年に入り携帯電話のCDMA(北米方式デジタル)通信サービスを本格化したのに伴い、韓国制携帯電話の対中輸出は8月に16倍も増えた。
このペースでいけば、年間の対中輸出は対米輸出も上回る過去最大の220億㌦台に達する見込みだ。
これに比べ対日輸出は、日本の不況もあるが不振をきわめている。特に、産業用電子部品や鉄鋼材、繊維類の輸出が低迷している。キムチやラーメンなどの食品類は好調だが、金額的なウエートは小さいため全体的に対日輸出は大幅な落ち込みは避けられない状態だ。一方、対日輸入は1―8月で4・5%増えており、この結果、同期間中の対日貿易赤字が89億㌦に拡大した。昨年同期と比べ41%増で、年間では過去最高だった96年の157億㌦規模に達する見通しだ。
中東を除いて貿易で稼いだ外貨を対日赤字穴埋めのために注ぐ結果になっている。
「韓国貿易構造のアキレス腱である対日貿易逆調の亡霊が再び頭をたれている」と警鐘を鳴らしてい。
しかし、韓日貿易不均衡問題は国交正常化以来の難題であり、妙案はないのが実情だ。産業生産に欠かせない機械・部品・素材を多く依存しているからで、最近では輸入規制を解除した自動車や家電製品の輸入急増も目立っている。これらの国産化は10年以上前から推進しており、時間がかかる。
韓国貿易協会日本支部では、「韓国製品の輸出を増やすためイメージアップを図るしかない。そのためのセミナーを開催している」と説明。
気になるのは、対中貿易は韓国が黒字を上げながら急拡大しているが、対日貿易は大幅な韓国側の赤字が解消されず輸出も減っている点だ。このままでは駐日韓国企業のウエートも中国に比べ低下してしまうという不安感が駐日韓国企業の間ある。