大宇自動車の整理計画案が仁川裁判所により最終認可された。同計画案は、大宇自動車をGM大宇自動車、大宇仁川自動車、大宇商用車、大宇バス、残存法人の5つに分割するもの。これにより、米GM(ゼネラル・モーターズ)と国内債権団が共同出資するGM大宇自動車は今月中旬、遅くとも11月初めに正式発足する見通しだ。大宇自動車にとってはバラバラに解体されてしまうが、経営破たんから3年ぶりに再出発を期すことができる。GMにとっても、92年に大宇自動車との合弁解消以来、10年ぶりの再挑戦になる。
新法人の正式名称はGM大宇オート&テクノロジー。GMが4億㌦、国内債権団が1億9700万㌦を出資する。国内債権団はまた、20億㌦を新設法人に融資して経営を支える。GM大宇自動車は、群山、昌原の2つの乗用車工場とベトナム乗用車工場、ドイツオーストリアなどの海外9法人からなり、年間最大生産能力は50万台だ。
GM側は、法廷が定めた2週間の抗告期間が終わり次第、新会社を旗揚げする方針だ。また、11月の早い時期に新車、1500CCクラスのJ2000(プロジェクト名)と2500CCのマグナス新モデルを投入する予定。
初代社長に内定しているニール・ダイリー氏は、「会社価値の下落と部品メーカーの困難をこれ以上放置できない」と早期設立の考えを明らかにした。また、「新車販売で消費者の信頼回復をめざす」と述べ、急いで高級セダンを開発し、最近流行のスポーツタイプオSUV車と多目的車のMVPを続々市場に送り込むと攻撃的な姿勢を見せた。ダイリー氏は、3月から夫婦でソウルに移り住んでいる。
GM大宇が出帆すれば、国内自動車版図は、現代・起亜、ルノーサムスン、GM大宇の三つ巴の市場争奪戦が本格化することになる。GM大宇側は市場シェアを現在の10%台から20%台に引き上げるのが当面の目標だとしている。2005年には生産能力を85万台に引き上げ、黒字転換させる計画だ。
◆ 5法人に解体
今回の整理案で大宇自動車は5法人に解体されることになったが、GM大宇自動車以外はどうなるのか。
まず、GM側が最後まで引き受けに難色を示した富平工場は大宇仁川自動車という法人に変わる。GM大宇自動車から6年間委託生産を受けて工場を稼動する。その後、GM側の条件を満たせばGM大宇に編入されることになる。その条件とは、①年間4%の生産性向上②GMが定めた平均労使紛争時間及び品質基準③2交代6カ月連続稼動など。富平工場側が、十分達成可能な条件だとしている。この工場は年間50万台の大きな生産能力を持つ。
釜山に拠点を置くバス工場(大宇バス)は、現在売却交渉中であり、全く別会社になりそうだ。大型トラック2万台の生産能力を持つ群山工場の商用車ラインは稼働率が上がり次第、売却さ庁に着手する段取りだ。残りの法人と資産は、大宇自動車残存法人が引き受ける。一時、大宇の世界化の象徴とされたポーランド、ルーマニアなどの海外14の生産法人と20の販売法人で構成される。この残存法人は今後、清算ないし売却の道をたどることになる。
大宇自動車の整理計画案は、債務15兆8607億ウオンのうち、18・1%に当たる2兆8780億ウオンだけを回収するとしている。この案9月12日に仁川地裁に提出され、10月30日に債権者ら関係者集会で通過することで最終的に裁判所の認可。有担保債権者の92・15%、無担保債券者の84・74%が賛成した。裁判所の最低承認基準75%、67%をそれぞれ満たしている。