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2002/09/06

<総合>趙世衡・駐日大使インタビュー 上

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    チョ・セヒョン 1931年、全羅北道金堤生まれ。ソウル大学独文学科、ハーバード大学ニーマン特別研究員課程修了。韓国日報ワシントン支局長兼特派員、編集局長、第10代・13代・14代・15代国会議員、南北国会会談代表、韓日議員連盟首席副会長、新千年民主党副総裁、新千年民主党常任顧問などを歴任。2002年2月28日、駐日大韓民国特命全権大使として赴任。

 趙世衡・駐日大使が赴任して半年がすぎた。「韓日国民交流年」の今年、両国間で様々な文化行事が行われて交流も増え、特に韓日共催のワールドカップ(W杯)が大成功に終わり、日本にとって韓国は一層身近に感じられている。経済的にも韓日自由貿易協定(FTA)論議が本格化するなど、将来の共同市場へ向け動き出した。趙大使に韓日関係の懸案などを聞いた。(聞き手:朴恵美・本紙社長)


  ◆若者の交流を

 朴社長  駐日大使に赴任されて半年になります。お忙しい毎日だと思いますが、この間、どんな点に力を入れて仕事をしていらっしゃいましたか。

 趙大使  そうですね、今年は歴史的な韓日共催のワールドカップが開かれ、そのことだけで多忙を極めました。しかし、W杯を契機に両国間の交流がとても活発化しており、大変重要な動きだと見ています。これらのことに大きな関心を持って仕事をしてきました。


 朴社長  駐日大使の最も重要な役割は何だとお考えでしょうか。

 趙大使  大使の役割というものは国家によって、また時代によって異なると考えます。今の時点で駐日大使としての大きな役割は何かといえば、政治・経済的問題も重要ですが、それに劣らず韓国と日本の交流をより一層活発にすることだと思います。特に若い世代、学生たちが頻繁に交流することで、相手に対する認識を正しくすることが非常に重要です。
もうひとつは、韓半島を中心とする北東アジアにおける安全と平和のため国際的努力を促進する役割を重視しなければなりません。


 朴社長  今年は「韓日国民交流年」であり、韓日W杯の大成功で韓日友好ムードが高まっています。韓日関係の現状をどうお考えでしょうか。

 趙大使  人的交流は両国合わせて1年に350万人、1日に約1万人に達します。W杯を契機に交流を活発化させる様々な制度改善がなされ、例えば韓国人の渡日ビザが免除され、韓国への飛行機が増便されました。ほかにも文化プログラムを多彩に展開して、両国で様々なイベントや交流が行われました。これをそのまま継続、維持する努力が必要でしょう。

 また、今年3月の韓日首脳会談の合意で、歴史共同委員会を発足させ、2年間と期限を決めて両国の専門家が協議を開始していますが、やはり歴史認識の問題が大事です。

 歴史の記述によれば、韓日の関係は1300年ほど前から非常に良好なものでした。交流も多く、文化的な側面では韓国から日本に多くの恩恵をもたらしました。だが、400年ほど前、豊臣秀吉が韓国を侵略する壬辰倭乱を起こし、前世紀には36年間にわたり日本が韓国を植民地統治したという不幸な歴史があります。従って、この過去の歴史認識問題について共同研究や相互交流を通じて解決すると同時に、両国間に1000年以上続いた良好な関係を回復しなくてはなりません。そのための努力が必要です。  

 そうした認識が基本としてあって初めて、本格的な政治・経済協力も成り立つのではないでしょうか。


  ◆逆調是正急務

 朴社長  韓日間の経済関係は投資保証協定も締結され、ますます緊密化する見通しですが、日本の不況が韓国経済にも影響を及ぼしていると思います。韓日経済の課題についてお聞かせください。

 趙大使  日本経済の不況が韓国に影響を及ぼしているのは事実です。かつては日本から1年に25億㌦の対韓投資がありましたが、昨年は10億㌦程度に減りました。投資だけでなく、韓日間の貿易取引も2000年の523億㌦から昨年には17%も減り431億㌦に縮小しました。日本は韓国にとって長い間第2位の輸出相手国でしたが、現在は中国に取って代わられ日本は3位に下がりました。これには日本の不況も関係していると思います。

 また、重要なことは対日貿易赤字が1年に100億㌦以上に達していることです。これには韓国の技術水準が日本に劣るために生じる赤字も含まれていますが、ある特定商品に対する関税率が過度に高かったり、韓国物資の対日輸出に支障となる非関税障壁もあり、これが解決されなくてはなりません。

 もちろん、日本経済が再生することが重要ですが、個人的には日本経済について楽観しています。日本は依然として世界第2位の経済大国であり、基盤も堅固で日本の企業や国家は技術開発への投資が膨大な額に達しています。

 また現在、日本政府が推進している経済構造改革が落ち着けば経済発展に大きな効果があるでしょう。日本経済が良くならなくてはいけないし、良くなると見ていますが、韓国も日本との経済的な繋がりを引き続き強化すべきだと考えます。