IMF危機後に経営破たんし、政府が公的資金をつぎ込んできたソウル銀行の売却先がハナ銀行に決まりそうだ。公的資金管理委員会は、入札したロンスターファンドとハナ銀行の修正提案を検討した結果、優先交渉対象者にハナ銀行を選定した。今後3カ月内に当事者交渉を行い、年内に本契約を結ぶ予定。金融構造調整を完結したい政府としては、この合併実現に並々ならぬ意欲をみせており、よほどの異変がない限りハナ銀行のソウル銀行買収は確実視されている。実現すれば、国民銀行、ウリ銀行に次ぐ資産規模84兆ウオンの国内第3位のビッグバンクが誕生することになる。
ハナ銀行が優先交渉対象者に選定されたのは、やはり価格だった。ハナ銀行が提示した1兆1000億ウオンの買収価格に比べ、ロンスターファンドの9000億ウオンを2000億ウオン上回った。姜金植・公的資金管理委員長は、明洞の銀行会館で記者会見、「ハナ銀行とロンスターの提案書を検討した結果、売却審査小委員会の審査結果を変更するに足る事由がないとの結論に達した。ハナ銀行は買収代金を株式で支払うが、合併後1年6カ月内に株価が下がった場合にはこの価格を現金で保証すると約束した」と述べ、「結局、ハナ銀行の方が公的資金回収に有利だと判断した」と認めた。
ちなみに、この間に投入された公的資金は5兆6525億ウオンのぼる。
ハナ銀行の金勝猷(キム・スンユ)銀行長(59)は、「ハナ銀行の歴史は12年に過ぎないが、ソウル銀行は43年になる。ハナ銀行は大口顧客が主流だが、ソウル銀行は小口大衆顧客が多く相互補完する効果が大きい」と述べた。また、「継続成長していく手段として合併を選んだが、今後も成長を止めることはない」と述べ、追加合併の意思を示した。
ハナ銀行は31年前に短資会社として出発、91年から銀行に衣替えした。その後、忠清銀行やポラム銀行を吸収合併、規模を拡大してきた。今回の合併に成功すれば後発銀行が韓国3位の規模になるだけに金融界の関心も高い。
一方のソウル銀行は金融構造調整の大きな足かせになっていた。4年前の1998年5月、海外売却のためモルガンスタンレーと主幹事契約まで結んだが、売却交渉は実を結ばなかった。次いで99年にはHSBCと売却直前までいったが、これも決裂した。東部・東遠など国内産業界のコンソーシアムと意向書を交わすなど、その後の何度も売却交渉をしては失敗した経緯がある。
今後、ハナ銀行はソウル銀行の大株主である預金保険公社との間でMOU(履行覚書)を結び、細部的な交渉を行い、異論がなければ10月末をメドに本契約を締結する計画だ。だが、過去のソウル銀行売却失敗の経験、さらに売却絶対反対を表明、合併阻止のためゼネストも計画している労組の強硬姿勢など不安材料もある。経営を立て直すためハナ銀行側が、預金保険公社側に対してソウル銀行の500人のリストラを要求しており、これも労組側の反発を強めさせている。
これらの問題をこうクリアしていくのかが大きな課題だ。