ポルトガル、イタリア、スペインと欧州の強豪を撃破してベスト４に進出した韓国は、決勝戦進出をかけたドイツ戦で０―１で惜敗した。横浜行きは逃したが、試合は連戦による疲労の中、優勝３回のブラジル相手に一歩も引かない大接戦だった。負けた瞬間静まり返った観衆からも大きな拍手を浴びた。29日に大邱Ｗ杯競技場で行われるトルコとの３位決定戦にも「テーハンミングッ（大韓民国）」の大声援は続きそうだ。

　決勝進出を逃し悔しいはずだが、「よく戦った、われわれは偉大だった」「大韓民国誇らしい」と韓国有力各紙は１面トップの大見出しで結果を称えた。それはドイツに敗れはしたが、予想をはるかに上回るベスト４進出を実現した選手・監督・コーチだけでなく、街頭応援に７００万人が繰り出した国民全体に対しての賞賛だ。

　「戦車軍団ドイツチームの頑強な抵抗にあい韓国サッカーの決勝進出が挫折した。しかし、太極戦士たちに＜挫折＞という表現は正しくない。横浜行きは実現しなかったが、Ｗ杯開幕以来、太極戦士たちがみせた戦火は最善を尽くした＜美しい成就＞であるからだ」（東亜日報社説）という指摘に国民の気持ちが集約されている。

　決勝トーナメントで「今Ｗ杯最高の名勝負」（ネティズンの反応）と評価されたイタリアと延長の死闘を制した後、22日のスペイン戦は１２０分を戦い０―０のままＰＫ戦に突入し、韓国は1人もゴールを外さず５―３で勝利。中２日で25日のブラジル戦を迎えた。ブラジルは中３日だった。
明らかに選手たちは疲れていた。これまでのように高い位置でボールを奪えなかった。集中力も下がっていたため、ボールを支配し自分たちのペースで試合を展開することができなかった。「怪我で後半ＤＦの崔ｼﾞﾝﾁｮﾙが交代したのが痛かった。だが、韓国はロスタイムの最後の１秒まで試合を諦めず攻め、もう少し続ければ韓国が勝っていたかも」という専門家の指摘もあった。

　今回のＷ杯で韓国は決勝トーナメント進出はおろか、ベスト８を超え、アジアで始めてのベスト４入りを実現した。決勝進出し優勝も夢ではないと思わせるほど「闘魂韓国」を強く印象づけたが、ＭＦの李栄杓は「監督の判断、選手の努力、周囲の支援、熱狂的なファン。全国民が成し遂げた神話だ」と言い放った。

　韓国快進撃にはいろいろの要素があり、チームの団結力と一人一人の闘志で勝ち進んできたが、国民的声援が噴出し、熱いエネルギーが選手たちに不思議な力を与えたのも間違いない。

　警察庁の集計によると、街頭応援はポーランド戦50万人、米国戦80万人、ポルトガル戦２８０万人、イタリア戦４２０万人、スペイン戦５００万人、そしてドイツ戦は７００万人に膨れ上がった。驚くべき増え方だ。想像もしなかった韓国チームの活躍に国民が燃えたのである。「サッカーに関心もなかったが、今回だけは別よ」と街頭応援に女性が率先する異変が生じていたことがそれを雄弁に物語る。

　共催国、日本のファンからも「韓国の勝利はアジアの勝利だ。決勝の横浜で待っているぞ」と声援があがった。韓国と日本を興奮の渦に巻き込んだＷ杯もフィナーレを迎えようとしているが、「韓国は世界サッカーの中心に踊り出た」と世界は驚愕をもって評価し始めた。