韓国最大の通信会社、KT(旧韓国通信)完全民営化のための政府保有株8857万株(持ち株比率28・36%)の売却が21日完了した。売却結果、SKテレコムが他社株転換債(EB、一定期間後に株式に転換できる権利が与えられた会社債)を含め11・34%を取得、最大株主になった。7月に株主総会を開き民間企業になるため定款を変更し、15年に及ぶ民営化作業を完了する。情報通信部は、KTの今後について「所有と経営の分離」原則を打ち出しているが、最大株主SKテレコムの影響力は大きく、経営権をめぐり今後どんな動きが起きるのか注目されている。
今回の政府株売却は17日から5日間、株式売却、追加株式売却、BT売却という形で3回にわたって実施された。総額5兆ウオンにのぼる大売却劇だ。当初、サムスン、SK、LGが同じ比率でKT株式を買入れ、黄金分割が実現すると予想されていたが、し烈な情報戦の末に、SKの一方的な勝利に終わった。有力企業の持ち株比率はSKテレコム11・34、LG手3レコム2・28%、大林産業1・39%となり、サムスンは完敗した。
SKテレコムの勝利は、経営トップがKT株買収にそれほど乗り気ではないような発言をするなど煙幕を張り、競争他社を牽制したのが奏効した。最初の株式買収申請締め切り5分前の18日11時55分、1兆6000億ウオンの巨額を出資する「戦略的株主」として買収申請するなど、その手法は考え抜かれたものだ。SKのKT投資総額は1兆9416億ウオンに達した。
一方のサムスンは、買収規模をめぐって内部で論議を重ねてきたが、財閥ランク1位の同社が突出することに批判もあり、李健煕会長が「KTに関心ない」と明らかにしたことで勝負はついた。サムスン生命、サムスン投資信託運用が「機関投資家」として申請したが、「戦略的株主」としての申請を取り下げたことが大きく響き、KT株式の優先配列順位から漏れ1株も購入できなかった。これで、サムスンのKT持ち株はサムスン投信運用が市場で買い入れた0.6%のみなった。
KTは国内の市内・市外電話網の9割以上、国際電話も6割のシェアを持ち国内有線電話をほぼ独占している。昨年の売上は11%伸び、11兆5000億ウオンを超えた。営業利益も1兆4000億ウオンを超す超優良企業だ。2005年売上21兆ウオンを見込んでいる。SKテレコムは国内移動体通信市場で53%のシェアを占めているが、KTの主要株主であるウリ社株(5.67%)、マイクロソフト(3%)、年基金管理公団(3.1%)より保有株式が多い事業者として、無線のみならず有線部門でも強力な影響力を行使するのは確実だ。
政府としては、KTは公共性が強い企業だけに特定企業による経営権掌握を排除したい考えだ。このため、KTのSKテレコム保有株比率を現在の9.27%から10%以上に引き上げることを検討している。商法上の相互主義原則により、SKテレコムの議決権行使を防ごうというものだ。だが、最大株主としてのSKテレコムの影響を排除することは困難であり、「経営権掌握の動きが本格化するのは時間の問題だ」という見方が多い。