ハイニックス半導体(旧現代電子産業)が、米国のマイクロン・テクノロジーと条件付きMOU(了解覚書)を締結、昨年11月から進めていた売却交渉が最終局面に入った。マイクロン社株式の20%を占める1億860万株を引き受けメモリー事業部門を売却するという内容で、売却価格は32億㌦(19日現在ニューヨーク市場株価29・5㌦計算)になる。これに対して「当初予想を6億㌦も下回る。安値売却だ」との声があり、最終決着までは予断を許さないが、売却が実現すればメモリー市場世界2位と3位の結合であり、サムスン電子を抜き世界シェア40%占めるだけに半導体業界への影響は大きい。
先週末まで続いた米国での交渉を終えた朴宗燮ハイニックス社長と債権銀行団の李徳勲ハンビット銀行長が22日公表したMOUの内容はやや玉虫色であり、5月末までに114の債権金融機関などの承認が得られなければ振り出しに戻ってしまう。
今回のMOUは非拘束、条件付きで締結された。どちらか一方がMOU内容を破棄しても責任が問われず、条件が充足されなければMOU自体が破棄される。MOUが効力を発揮するためには5月末までにハイニックス理事会、債権団、マイクロン理事会の承認を得なければならない。
MOUの内容は、ハイニックス側にとって相当に厳しいもので、マイクロンの要求が大部分受け入れられている。まず売却価格が相当に低い。ハイニックスの評価基準は35㌦であり、その場合の売却価格は38億㌦になるが、やや説得力に欠ける。35㌦になるためには18%も株価を上げなければならないからだ。さらに、債権団は新設されるマイクロンコリアに運営資金など15億㌦を長期融資するとしているが、マイクロン本社の保証は得られていない。
一方、マイクロン側はハイニックスの残存法人(非メモリー部門)に2億㌦を投資する。また、雇用問題ではハイニックスの従業員の85%以上を2年間再雇用する。この点ではハイニックス側も粘り腰をみせた。
このMOUに対してマイクロンの本社があるアイダホ州のアイダホ・ステーツマン紙は、「98年の不況時にテキサス・インスツルメントを安値で買収して培った自信感を土台に今回のハイニックス買収でも成功した」と評している。
ハイニックス側は、売却交渉を早期に決着、5月末までに本契約を結びたいとしているが、債権金融機関の中に不満の声ずあり、一株株主や労組、下請けメーカーからも反対の声が高まっており、楽観はできない情勢だ。労組の声明は、「韓国の情報・知識化産業の根幹を放棄し、米国に譲り渡すのは納得いかない。独自生存の道を模索すべきだ」と主張している。
田ユンチョル・副総理兼財政経済部長官は、この問題について、「早期に処理するのが望ましい。ITの循環サイクルが短く巨額の設備投資が必要であり、ハイニックス独自生存いかんは、これらすべての問題を考慮して判断しなければならない」と述べた。