田ユンチョル・副総理兼財政経済部長官が率いる新経済チームの政策方向に関心が集まっている。前任の陳稔副総理の経済チームと政策に大きな違いはないとみられているが、新任の田副総理は原則論者として知られ、改革色が強いため財閥規制が強まるとの観測があるからだ。だが、田副総理は15日の就任第一声で「市場親和的な政策基調を一貫性あるように持続的に推進する」と明らかにした。この「市場親和的」とは何を意味するのだろうか。残り任期10カ月となった金大中大統領の「DJのミックス」を仕上げる重責を担っているだけに、新経済チームの舵取りが注目される。
田副総理は「市場親和的政策」という用語について17日の聯合ニュースとの会見で「企業が競争できる与件を拡充するという意味だ」と説明した。この政策に基づき、企業活動に負担となる各種規制を緩和し、開放政策も必要ならばさらに拡大するという考えを示した。
もちろん、無制限な規制緩和ではなく、船団的な企業拡張許さないという前提条件付きだ。公正取引委員長時代に出資総額制限を復活させるなど財閥規制を強化したこともあるだけに、財界では「積極的な規制緩和と政策の一貫性維持を念頭におき、経済再生に総力をあげてほしい」(全国経済人連合会)と訴えている。
新経済チームの経済課題は山積しており、列挙すると①景気活性化の維持②不動産市場などの過熱化解消③企業規制緩和④財閥・金融改革の持続⑤選挙シーズンの経済安定化⑥公企業民営化⑦南北経済協力案作成⑧公的資金の回収⑧東北アジアビジネス中心地発展細部計画樹立――などがあげられる。
特に、ハイニックス半導体や大宇自動車などの大企業の構造調整を仕上げ、銀行民営化、公企業民営化、鉄道産業の構造改編などの当面課題として急ぐ必要がある。田副総理は陳全副総理より、これらの課題に優先順位を強力に推進する可能性が強い。
2000年8月に企画予算処長官に就任するや、公企業と政府傘下機関、国策銀行など256の公共機関の退職金累進制をなくす強力な政策をとったこともある。公企業民営化でも、労組など利害関係者に「民営化に同意しなければ予算配定はしない」と説き伏せた。これらの点から改革力、推進力には定評がある。
銀行民営化については、「朝興銀行、ウリ金融持ち株会社など政府所有銀行の民営化は急を要する課題であり、外貨危機でどうすることもできず政府がこれら銀行の持ち株を所有することになっただけに、民営化は最大限急がなければならない」との考えを示した。
また、不良企業処理問題に関しては、「企業の価値が正しく反映されなければならないという当為性は考慮に入れなければならないが、市場不安要因を除去するためには全体的に処理を急ぐ必要がある」と述べた。過熱論争がある景気問題については「下半期には物価問題を心配しなければならない」と診断している。
今後、各部門ごとに具体的運営方向が打ち出されていくことになるだろうが、企業規制緩和の内容については、「企業規制の中には当然緩和されなければならないものも残っている。規制改革委員会とともにに果敢に規制緩和を推進する」と明らかにした。
陳稔氏が副総理を辞めたのは、京畿道知事選に立候補したためだが、これは与党・新千年民主党の大統領候補を応援するため大票田の京畿道を抑えるための政治的思惑からだ。だが、経済運営に断絶があってはならず、改革政策を仕上げるためにも推進力のある適任者を選ばなければならなかった。
青瓦台(大統領府)では、「田ユンチョル副総理は経済全般に対する識見た豊富であり、業務推進力と組織掌握力に優れている。経済改革政策基調を一貫性あるように率いる適任者」と抜擢理由を説明している。
一方、田副総理とコンビを組む大統領経済・福祉・労働担当特別補佐官に李起浩・青瓦台経済首席秘書官を起用した。
また、朴智元氏が大統領秘書室長に任命された。