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2002/03/15

<総合>W杯特別インタビュー 高円宮憲仁親王殿下

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    「今もボールを蹴ります」と語る高円宮殿下(高円宮邸で)

 韓日が共催するサッカーのワールドカップ(W杯)を77日後に控え、5月31日行われるソウルでの開会式に皇族の高円宮憲仁親王殿下が出席されることがほぼ確定した。3月21日に小泉首相が訪韓、金大中大統領との首脳会談で正式決定されるが、韓国政府の正式招待で皇族が訪韓するのは戦後初めてのことであり、関心を呼んでいる。高円宮殿下に訪韓に寄せる期待、W杯の意義などについて語っていただいた。(聞き手・本紙朴恵美社長)


   ◆天皇訪韓はチャンス待ち

 朴社長 今回の韓国ご訪問は、過去にいろいろわだかまりもある韓日関係に、新しい扉を開くものだと思います。韓国ではぜひ天皇陛下にも来てほしいという話もありますが、今回のことにより自然と天皇陛下のご訪問にもよい雰囲気となるのではないでしょうか。

 高円宮殿下 今回私が行くことで、いままで閉じていた扉が開くみたいな、そういう発想は持っていないんですね。いまの陛下が皇太子の時代に、韓国にという話がありました。たしか皇后様のご病気で実現しませんでしたが。ずっと前からそういう可能性はいくらもあったわけで、ただ具体的なチャンスがなかっただけだと思います。今回はたまたまW杯ということで、サッカー協会に関係している私が行くことになりそうだというわけです。

 将来的にはもちろん、両陛下のご訪韓は当然ありうる話でしょう。ただW杯のついでにというのは、どうでしょうか。


 朴社長 そのためだけの正式招待を受けて訪問するというのが望ましいということでしょうか。

 高円宮殿下 ええ、私はそのほうがやはりふさわしいと思いますよ。両国の過去の歴史を考えれば、天皇皇后両陛下のご訪韓というのは、それ自体が世紀のイベントでしょう。W杯もW杯でこれも世紀のイベントだし、それを2つ一緒にやってしまうのはもったいないなと(笑い)。これは私の個人的な見方ですけど。それと現実問題として数カ月後にというタイムスパンでは、両陛下の海外ご訪問は不可能だと思います。


   ◆サッカーと長い付き合い

 朴社長 日本サッカー協会の名誉総裁をおつとめですが、サッカーとの出会いについて、お聞かせください。

 高円宮殿下 小さいころはもっぱらテレビでね。そのころ岡野俊一郎さん(現在、日本サッカー協会会長)が解説をしていた「三菱ダイアモンドサッカー」という番組があって、毎週楽しみに見てました。サッカーは小学校の時分からやってましたが、それほど本気ではなかったですね。中学の時には、毎日学校で必ず1時間はサッカーをやって、試験期間中もみんなで集まってやっていたぐらいだから、かなり好きだったんですね。高校時代は、これも韓国が強いスポーツの1つですけど、陸上ホッケー部にいました。大学時代はスキー部。練習としてもサッカーはしょっちゅうやっていて、付かず離れずみたいな形ですね。


 朴社長 最近もやっていらっしゃるんですか。

 高円宮殿下 ええ、国体のときに日本サッカー協会と、地元のサッカー協会のチームとの親善友好試合というのがありまして、私は日本サッカー協会チームの一員として、毎年少なくとも1回はやります。それから、知り合いが作っているフットサル(5人制のミニサッカー)のチームに入れてもらっているので、年にサッカーボールを蹴る機会は4、5回はあるでしょうか。


 朴社長 すごいですね。普通でしたら走ることすら辛いですのに。

 高円宮殿下 だから、あんまり走らないようにしています(笑い)。


 朴社長 韓国サッカーをどのようにご覧になっていますか。

 高円宮殿下 いやあ、昔から日本は韓国になかなか勝てなくてねえ。ワンレベルも、ツーレベルも韓国サッカーは日本の上を行ってましたからねえ。サッカー協会関係者はもちろんですけど、われわれは韓国サッカーには勝てないねというのが通念としてありましたね。9年前にJリーグができて、やっと韓国のレベルに日本が追いついてきたという状況ですね。いまでも、韓国チームは強いというイメージがあって、特に日本チームに対しては容赦がない(笑い)。キムチのせいですかね、韓国チームは昔からすごく体力があるのは。


   ◆ともに決勝リーグ進出を

 朴社長 韓国のどの選手が好きですか。

 高円宮殿下 廬廷潤は好きでしたよ。すごく綺麗なプレーをする人でしたし、とにかく韓国の選手を見ていて思うのは、まず走るのが速い。それから、サッカーボールに対する執念、目標に対する執念みたいなものがすごいですね。

 情熱というか、エネルギーあふれるプレーっていうのが、昔からサッカーに限らず韓国のスポーツの大きな特徴であると思います。


 朴社長 今回のW杯では、韓日がどこまで残るかというのが、大きなポイントになりますね。

 高円宮殿下 そうなんですよ。開催地のチームがファイナルトーナメントに歩を進めるということは、とても大事なことだと思います。


 朴社長 韓日とも決勝リーグに進めば最高ですね。

 高円宮殿下 前回のW杯予選、ソウルでの日韓戦のとき、先にフランス行きが決まっていた韓国から「一緒にフランスに行こうよ」という垂れ幕が出ましたでしょ。

 私はあのニュースを聞いたときに、本当に嬉しかったですよ。ああ、韓国と日本にそういう関係がいま生まれつつあると。ああいう垂れ幕が出るとは、誰も想像してなかったと思うのですよ。ああこれで、日韓共催のW杯はうまくいくだろうという、最初の実感がありましたね。非常に強い期待を感じました。

 なんといっても、フランス大会というのは日本が初めてW杯に出場した試合です。

 韓国はそれまでに4回ぐらい出ていましたから、歴史的な強さは全然違ったわけですが、やっとあの辺りで日本が追いついて、そういう温かい言葉を掛けてくれた。しかもソウルで。あれは非常に感動的で、記憶に残るニュースだったと思います。(つづく)