世界的な鉄鋼メーカーのポスコが3日、慶尚南道の浦項市迎日湾に韓国初の一貫総合製鉄所である浦項製鉄所竣工から30周年を迎えた。この日、「迎日湾の奇跡」の」立役者、朴泰俊・名誉会長をはじめ、李亀沢会長、当時の従業員ら200人が出席して浦項製鉄所で完工30周年記念のポスコ歴史館開館式を開いた。ポスコはいま年産3000万㌧に近い生産力を誇り、「世界のポスコ」として鉄鋼業界をリードしている。最近では中国から再三にわたり一貫製鉄所の建設依頼を受け、30年にわたって蓄積してきた建設ノウハウを提供の検討に入った。ポスコはこれを期に、海外投資の拡大や新技術の開発に拍車をかける。
浦項製鉄所は1970年4月1日に着工、その後3年余にわたり圧延、製鋼、銑鉄など総合製鉄の一貫工程をなす計22の工場を次々と完成、73年7月3日に第一高炉に火を入れた。その後、設備投資を継続、関連技術を蓄積してきた。また、30年間一度も生産を中断したこともない。いまでは光陽製鉄所を含め単一メーカーとして世界で最も多い9つの高炉を稼働させて、鉄鋼生産量は世界2位の年間2807㌧に達している。
米国の鉄鋼分析専門機関、ワールド・スチール・ダイナミックスは6月に世界トップ級20社の鉄鋼メーカーの競争力を評価して、ポスコを2年連続で世界最高の鉄鋼メーカーに選んだ。ポスコは抜群の収益力を誇り、操業以来、毎年黒字を持続してきており、すぐ現金化できる資金は2兆2000億ウオンに達する。
だが、世界の業界は買収・合併再編の嵐が吹き荒れており、また世界最大の鉄鋼需要国、中国の追い上げも予想される。これに備え、現在次世代製鉄技法であるフィネックス技術を開発、商用化段階に入っている。これは既存の高炉に比べ投資費を15%節減でき、環境汚染物質も最高96%まで減らせる最新技術だ。オーストリアのフェスト社と92年から共同開発に着手、最近でもプラントを完成しテスト中だ。
ポスコの創立者である朴泰俊名誉会長は最近、「中国の青島市側から浦項製鉄所のような一貫製鉄用を建設してほしいとの要請を受けた」と明らかにした。市側は、用地提供と各種支援をするという。
粗鋼年産100万㌧規模で投資額は5000億ウオンを要する。中国側は粗鋼年産で相当大規模な設備を希望している。
李亀沢会長らポスコ経営陣は現在、この要請の検討に入っている。李会長は7―10日の盧武鉉大統領の訪中に随行する経済人メンバーに参加し、鉄鋼分野の強力問題を協議する計画だ。建設する場合、最新技法であるフィネックス技術を取り入れることになりそうだ。
一方で、来年からはWTO(世界貿易機構)の合意により、鉄鋼製品に対する関税障壁が撤廃されることから、中国の安価な鉄鋼製品が大量に流入することも予想される。中国への設備供給に否定的な声もある。
朴名誉会長はこの問題について、「中国は間違いなく世界の工場になる韓国経済はブーメラン効果を恐れて中国に対する投資と技術移転を忌避してはならない。限りなく新たな技術を研究開発して中国とともに生きる道を探さなくてはならない」と強調している。
30年前、「無謀な挑戦だ」と批判を退け、一貫総合製鉄所を完成させたが、当時は技術も資本もなかった。日本の鉄鋼メーカーの協力が大きかった。その後、日本メーカーはブーメラン論を起こし韓国製品の締め出しに動いたが、それは長続きしなかった。韓国は、このような歴史的教訓も生かせるだろう。