1997年12月4日、IMF(国際通貨基金)常任理事会は、韓国に対して総額550億㌦の救済プログラムを承認した。それから6年たったいま、当時底をついていた外貨保有高は史上最大の1500億㌦を突破し、もう2度とIMF危機のようなことは起こらない回復をとげた。だが危機克服のため推進した金融、企業、労使、公共の4大改革はまだ道半ばの状態であり、経済を牽引する新たな成長動力を探さないと景気沈滞の困難な状況を打開できないという声が強まっている。
韓国がIMF管理下に入ってから6年を迎え、韓国経済研究院などの主催でIMF政策評価に関する国際セミナーが1日ソウルで開かれた。左承喜院長は「2001年8月にIMF管理体制から脱却したが、いま韓国は類例のない景気沈滞に陥っている」と診断した。
IMFから借り入れた資金は当初予想を大きく上回る3年8カ月で繰り上げ返済した。当時の危機は3高(高失業、高金利、高為替レート=ドルに対するウオン安)と2低(低外貨保有高、低株価)で特徴づけられる。失業率は98年に7%にまで跳ね上がったが、昨年は3・1%に下がった。金利も3年満期会社債基準で97年末の28%から5%台に低下。為替レートも1㌦=1695ウオンから1200㌦に安定している。
また、外貨保有高は97年末の89億㌦から今年11月末で1503億㌦に達した。これは日本、中国、台湾に次ぐ世界4番目に多い水準だ。さらに総合株価指数も376から800台近くに回復している。だが、危機は克服したものの、昨年来、景気沈滞が長期化しており、左院長の診断はその警告の意味がある。
韓国がIMF危機克服のため打ち出したのは金融、企業、労使、公共の4大改革。金融改革は大成功を遂げたと日本からも学びに来る専門家がいたほどだ。だが、銀行部門はそれなりに成功したが、投資信託業界の構造調整はまだ足踏み状態であり、信用不良者が史上空前の350万人に達するなど信用カード部門は第2の金融危機を呼び起こしている。
企業改革も財閥の支配構造改善に焦点をおき、かなり大胆に推し進めてきたが、国際競争力の面ではむしろ低下しているとの指摘が支配的だ。輸出が好調であるにもかかわらず、設備投資が減少傾向から抜け出せていない。最近では検察の秘密資金捜査で明るみになり、財閥と政治圏の癒着問題もまたぶり返している。
労使改革は大きな問題を抱えている。労働部によると、今年に入って労使紛争が300件を超しており、1990年代以降で最高だった90年の322件を上回る勢いだ。「労使改革はむしろ失敗ではないか」という指摘もある。さらに、公共部門の改革は、リストラはそれなりに進んだが、効率的な業務遂行という点では及第点はあげられない状態だ。
KDI(韓国開発研究院)は、「韓国経済は新たな成長動力を早期に探さなければならない。IMF危機は外部から来たが、いまは成長潜在力を高める内部改革が重要だろう」と指摘している。