人口54万人、面積1864平方㌔㍍の楕円形の島、済州道がシンガポールや香港のような国際自由都市として開発される。政府は済州道を2010年までに国際自由都市として開発する計画を進めてきたが、7つの先導プロジェクトに来年から本格的に着手することになった。済州道は、東洋の真珠、東洋のハワイと呼ばれ、国内外から年間450万人が訪れる韓国最大の観光地だが、政府は東アジア最高の観光・リゾート都市、先端知識・物流・金融などの機能を備えたアジアのハブ都市にすることを目指している。
済州国際自由都市構想は、1998年に金大中大統領(当時)が開発方針を表明してから具体化した。建設交通部などでの妥当性調査を経て、国務総理が委員長の済州国際自由都市推進委員会などを設置、基本計画づくりにとりかかり、7つの先導プロジェクトを選定した。投資総額が30億㌦に達するこの先導プロジェクトは、国際自由都市の核心戦略事業であり、概要は次の通りだ。
①西帰浦の海岸地帯に建設する世界レベルのリゾート型住居団地の開発②済州大学近郊に建設するIT、バイオなどのメッカとなる先端科学団地造成③海洋観光施設を整えた西帰浦港観光開発④北済州郡涯月邑に建設する世界の名品・有名ブランドなどを取り揃えたショッピングアウトレットの開発⑤済州道の自然と文化遺産を生かした生態と神話・歴史の2つのテーマパーク建設⑥自由貿易地域として開発する済州自由貿易エリアの造成⑦25年前から開発が進められてきた中文観光団地の拡充
この中でも特に注目されるのは、16億㌦以上を投入する生態系と神話・歴史のテーマパークだ。済州は5000年前から特有の島文化と伝説が息づいており、その素晴らしい自然環境、生態系、歴史、文化遺産などを生かした観光名所にする考えだ。また、この7つの先導プロジェクト以外に健康と美容などのテーマタウン建設も計画している。国際自由都市とは、ヒト、モノ、資本の国際的な移動と規制緩和で起業しやすく、政府レベルの特別な支援が実施される地域をいう。この基本コンセプトのもと、済州国際自由都市特別法を制定した。
政府はこれら事業に来年から本格的に着手する計画だが、国内外から広く投資を呼びかけている。そのためのインセンティブとして投資から3年間は法人税、所得税、地方税を免除するなどの租税面での大幅優遇措置を講じる。
この投資窓口でもある特殊法人・済州国際自由都市開発センターの康允模理事長は、「済州道は自然に恵まれた観光資源とともに無限な開発可能性を秘めた島です。チャンスの島に繰り広がる夢の未来に参加して下さい」と呼びかけている。
7つの先導プロジェクトについては野村総合研究所にも妥当性調査を依頼、「妥当性あり」との結果が出ているが、このプロジェクトが成功裏に推進されるかどうかが「国際自由都市」成功の鍵を握っている。
済州道を訪れる観光客は、2010年には1000万人(うち外国人観光客100万人)を見込んでいる。済州道の周辺には2時間の飛行距離に人口500万人以上の都市が18以上もあり、1000万人が訪れる「東アジアの観光・ビジネス・リゾートの中心都市」になる潜在的な可能性は十分あるといえそうだ。
済州道国際自由都市建設の推進機関である済州国際自由都市開発センターの李光熙・開発本部長と国務総理国務調整室の兪成鎔・建設交通政策課長ら関係者が19日、都内のホテルで開かれた投資説明会で、日本の投資家らに済州国際自由都市の基本コンセプトを説明、7つの先導プロジェクトをはじめ、日本人に関心の高い健康、美容などのテーマタウンへの投資を呼び掛けた。
説明会では環境への影響に対して懸念の声もあったが、これに対して李本部長は、「環境保全は最前提条件であり、環境親和型の開発と位置付けている」と説明。また、学歴が認定される外国人学校の設置が可能になっており、外国人医療機関の設置につても検討中と明らかにし、「ワールドカップで4強入りを実現したが、夢は実現できるものだ」と済州自由都市計画への強い推進意思を表明した。