韓国企業の対中進出が活発化しており、対中直接投資は今年に入って9月末現在で1164件・13億9000万㌦に達し、年間では2年連続して1500件・20億㌦を突破する見通しだ。中国側の対韓投資誘致も熱心で、江東省など各省から大型誘致団の訪韓が相次いでいる。
韓国が中国と国交を樹立して11年にすぎないが、ここ数年の韓国企業の対中進出はめざましく、今年に入っては毎月130社の割で新規進出しており、上海では急増する韓国人ビジネスマンのため韓国料理店が急増しているという。これに対して「産業の空洞化」を心配する声も出ているが、対中投資熱は中国側の積極的な誘致活動とあいまって、むしを加熱化の様相を呈している。
中国側は対韓投資誘致に戦略的に力を入れているようで、最近では大型投資誘致団を相次いで派遣している。10月の例をみると、江東省、山東省など10以上の省や市から投資誘致団が訪韓した。特に江東省は企業以外に省政府代表、観光業界代表らも多数参加、正式メンバーだけで400人近くに達した。今月11日に予定されている遼寧省投資誘致団も300人規模からなり、韓国に対する熱の入れ方が分かる。
韓国企業にとっては、中国の人件費の安さが最大の魅力だが、受け入れ態勢の改善も中国進出に向かわせている。例えば、天津で8000人を雇用し外国企業では最大規模の電子会社を運営するLG電子の現地法人の中国人社長は、「中国では外国人企業のトップを総理級の待遇をしている」と語った。13億人の巨大市場が、投資環境改善に本格的に取り組めば、隣接する発達した工業国、韓国のウェートが高まるのは当然の成り行きだ。
財政経済部の統計データをみとる、2000年代に入って対中直接投資が急増、特に昨年には初めて20億㌦を突破した。これは前年9億8000万㌦に比べ2倍以上の増加だが、今年はこれをさらに上回る勢いだ。
特に、首都圏の京畿道から中国に進出した企業は昨年末現在で1443社に達し、昨年1年間だけで350社が中国で工場を建設した。金額にして約4億㌦だ。このような対中傾斜を「脱京入中」と懸念する声もある。首都圏の企業の対中進出が活発なのは、首都圏での各種規制の影響もある。例えば、中国での構造増設を計画しているオートバイ用ヘルメットの世界最大メーカー、HJCは「竜仁用地が緑地指定されたため工場施設増設ができなくなったので、北京工場の増設を考えている」としている。
一方、中国政府が国策事業として大々的に推進することを決めた黒龍江省、吉林省、遼寧省の東北3省の再開発プロジェクトが韓国企業の対中進出に拍車をかけそうだ。東北3省の各地では「韓国週間」を設けるなど韓国企業の誘致に熱心だ。
黒龍江省の東南部にある海林では、韓国各地の中小企業を招くなどの活動を開始した。黒龍江省で5年間副市長を務めている朝鮮族の黄蓮花氏は、「ここでは中・韓経済開発区を建設するほどに韓国企業が投資誘致の最大ターゲットだ」と説明。成功事例が大切だと、韓国企業が投資した複合サウナ施設の宣伝広報に行政当局が各学校に利用を薦める気の入れようだ。東北3省には吉林省を中心に朝鮮族が多く居住しており、韓国企業にとってこの再開発プロジェクトの行方は目が離せない。