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2003/10/17

<総合>強力な「土地公概念」導入へ

 盧武鉉大統領は13日の国政演説で、「不動産投機は絶対容認できない」として「いま政府が準備中の総合的な不動産対策でも不十分なときには強力な土地公概念制度の導入も検討する」と明らかにした。この間、一連の不動産対策が効果をあがらない状況で、投機横行への危機感が高まっていた。今回の盧大統領発言は、劇薬的処方を使ってでも投機を抑え込むとの強い意志が込められているが、過去1990年に導入された土地公概念関連法律が違憲論争にまで発展しており、今回も大きな論議を呼びそうだ。

 国会演説で盧大統領は、「いまも多くの人が政府の不動産対策を信じていず、公然と“江南腐敗”(ソウル南側の江南地域の不動産価格は上昇するのみの意)という言葉まで出ている。住宅価格安定は庶民生活そのものであるので、不動産価格は必ず安定させる」と強い決意を示した。土地工概念制度の導入はその切り札の意味がある。

 土地公概念は政府が公共の利益のため土地の利用と処分を適切に制限することができる概念。土地は公共財の性格が強いが、可用面積が制限されており、いつかは必ず投機と需給の不均衡が発生するため、これを抑えるため考えられた。盧大統領も、「土地は国民生活と企業経営に不可欠な要素だが、拡大再生産が不可能なだけに一般商品とは違う扱いをしなければならない」と言及。

 韓国ではかつて盧泰愚大統領時代の90年に土地工概念に立脚、土地所有上限制、開発利益還収制、土地超過利得制の3法律を制定した。その内容は、▽ソウルなど6大都市で666平方㍍を超過する土地を購入するときは事前許可を必要とする▽開発事業、土地利用計画変更などで地価が上昇すれば、開発利益の50%を課税する▽遊休地と非業務用の地価が上昇した場合、全国平均以上の上昇分の30-50%を課税する--というもの。

 当時投機が収まらず大きな社会問題になっていたが、この制度導入の結果、91年に12・7%だった地価上昇率は92年マイナス1・27%、93年マイナス7・38%、94年マイナス0・57%と大きな効果をあげた。政府は、このような過去の前例も参考に、最近の住宅価格上昇など不動産バブルが賃金、企業生産原価上昇に結びつき、国家競争力を低下させると判断、土地公概念導入の検討に踏み切ったようだ。

 だが、この土地公概念導入は早くも賛否の論議を呼び起こしている。学者の間でも、「土地は宅地という側面で私的財貨であるが、社会状況により公的な制約を加えることができる」とする賛成派に対して、「局地的な地価上昇問題を解決するため私有財産権の根幹を揺さぶる土地公概念制度を導入することよりは保有課税引き上げ、公示地価体系四尾など不動産市場をめぐる基盤を強化するのが望ましい」と慎重な意見も少なくない。

 過去の土地公概念3法は一部を除き違憲判決を受け廃止された。ただ、専門家の多くは、憲法裁判所が違憲とした部分は、宅地所有上限の過度な制限と高率の負担金など細部の施行令の問題であり、公概念導入自体を否認するものではないと解釈している。ただし、今回再び土地公概念を導入する場合、違憲判決を受けた法律をそのまま再び活用することはできないので、どんな制度を検討するのか注目される。

 ◆土地公概念の創始

 盧大統領の今回の土地公概念導入検討発言の背景には、李廷雨・大統領政策室長の役割が相当に大きいと見られている。李室長は慶北大教授時代に「ヘンリー・ジョージ学会」活動を展開、土地公概念に関する研究を重ねていた。

 同学会は、土地私有制の撤廃を主張したヘンリー・ジョージ(1839-1897年)の土地改革思想を受け継ぎ土地問題を改革するために設立された学者の集まり。ジョージは40歳の時、「進歩と貧困」という本を出版、土地私有制のもとでは進歩の恵沢が労働と資本に回らず、土地投機はさらに深刻になると指摘した。