韓国と日本は2日、ソウルで韓日FTA(自由貿易協定)産・学・官共同研究会の第8回会議を開き、FTA締結のための政府間交渉の早期開始を建議する内容の最終報告書を採択した。これで同研究会はすべての活動を終え、今後の焦点は3カ月以内に始まる見通しの政府間交渉に移った。
同研究会は、両国間のFTA締結は短期的に韓国の対日貿易赤字を拡大させるが、長期的には対日収支改善効果があると結論づけている。また、FTAが究極的に両国の経済発展にプラスになるだけでなく、地域平和と繁栄にも寄与すると評価し、関税撤廃のみならず非関税障壁除去、投資、サービス、投資活力を含む包括的なFTAの推進を建議した。
特に非関税障壁については、韓日貿易を阻害する大きな要因であると認定、この問題に限って研究会の下部グループ活動を継続して、改善案をまとめる計画だ。また、両国間の戦略的提携など企業間協力関係の強化も提案した。当面しては、FTA締結に備えて韓日業界間の既存対話チャンネルを強化する必要があると指摘した。競争力強化と構造調整促進がメインテーマになるとみられる。
韓日FTAをめぐっては当初研究機関レベルで研究が進められ、2年前に推進を決議した。経済界でも協議が行われ、FTA論議は活発化した。このような動きを受け、韓日両国の政府、産業界、学界の関係者が参加する産・官・学共同研究会が昨年7月構成され、FTAの経済的効果、妥当性、基本原則などを研究・調査してきた。
その結果がFTA推進を建議したこの日の報告書となった。韓日両国政府はすでにFTA開始で意見一致をみており、韓国側は業界の意見を収れんに入っている。政府関係者は、「今月下旬にタイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力体)首脳会議で韓日首脳がFTA開始を宣言できるよう準備作業をすすめている」と明らかにし、「現在の状況から見て来年初めには交渉を開始できるだろう」と述べた。
◆ 貿易収支で韓国に効果大!?
韓日FTAを実施する場合、日本には農業面での補完が必要になるが、やはり最大の問題は、圧倒的に競争力のある日本の乗用車や電子製品、各種素材・部品が雪崩をうって韓国市場に流入、韓国側の対日赤字が急拡大する懸念だ。この間、日本側に比べ韓国側に時期尚早の声が強かったのはこのためだ。この貿易面の影響について短期的には韓国側の赤字拡大は避けられないが、中長期的に年間30億~400億㌦の貿易収支黒字になるという展望が明らかになった。対外経済政策研究院(KIEP)と日本のアジア経済研究所(IDE)が韓日FTA効果を分析した結果分かった。
それによると、韓国は1~2年の短期では工業製品競争力の劣勢で損害を被るが、3~10年の中長期的ではむしろ日本の投資と技術協力などの資本蓄積に助けられ利益を得る見込みだ。KIEPの分析では、短期的な韓国側の対日赤字は年間60億㌦拡大が見込まれ、この結果、全体貿易収支も15億4300万㌦の悪化要因が発生する。しかし、中期的には対日貿易収支悪化要因は4億4000万㌦に縮小し、日本の先端部品を安く購入したあと完成品として売るため、全体の貿易収支も30億1400万㌦の黒字要因が発生すると分析。
一方のIDEは、中長期的には、対日貿易収支は引き続き24億6000万㌦の赤字を記録するが、全体貿易収支は日本に蓄積された資本力に助けられ408億㌦の黒字要因が発生分析。これは韓国側分析の10倍以上だ。