週5日勤務制を規定した勤労基準法改正案が国会本会議を通過、韓国でも来年7月1日から本格的な週休2日制時代が到来する。法改正で労働時間は現行の週44時間から40時間に短縮され、職場ばかりでなく経済、社会、教育、文化、レジャーなど多くの領域で変化が予想され、様々な角度から生活の質向上に関する論議が盛んだ。だが、経営側にとっては、労働時間短縮をカバーすべく生産性向上や効率アップが大きな課題になっている。
改正案は先月29日、与野党230人の議員が出席、賛成141、反対57、棄権32で国会本会議を通過した。労働時間は1989年から3年間にかけて段階的に48時間から44時間に短縮され、土曜半休が定着した。今回さらに40時間に短縮されることになるが、今回は7年かけて段階的に実施されることになる。
来年7月から真っ先に適用されるのは、金融・保険・公共機関と1000人以上雇用の大企業で、その後企業規模別に2008年までに段階的に実施される。20人未満の零細企業は2011年までに導入時期を大統領令で決める。
これとともに休暇制度は、現在の月次・年次休暇制度が統合され、勤続期間により15-25日に調整される。使用者が積極的に有給休暇を消化するよう勧奨したにもかかわらず未消化として残る休暇に対する金銭補償義務は生じないようにし、休暇制度の本質的機能を強化している。
公務員の場合は、行政自治部が公務員服務規程を改正して2005年7月施行を検討中であり、教育人的資源部は2005年から各級学校で月1回土休を取り入れる。
今回の週休2日制の導入で、休日は公休日を含めて現在の年間91-101日から134-144日へと43日増える。これは日本(129-139日)や英国(136日)を上回り、産業界には競争力が低下しないか不安の声もある。
また、休暇は増えたが、超過勤務手当てが現行より削減され、女性にとっては有給だった月1回の生理休暇は無給になるなど賃金削減要因が生じるという問題がある。20日を超過した未消化有休について金銭補償が可能だったが、これも禁止された。労働界では、「これは勤務条件の悪化だ」と反発している。
改正勤労基準法では付則4条で「使用者はこの法施行により既存の賃金水準と時間当たり通常賃金が低下しないようにしなければならない」と規定しているが、この「賃金補填」解釈をめぐって、強制か否かで論難が起こっている。高健総理は1日、「この規定は訓示的なもの」と述べたが、労働部では総額賃金が低下した場合は、是正するよう行政指導の対象になると判断している。また、実際に訴訟が起きた場合、この法の効力で労働者側に勝訴する公算が強いと法曹界では見ている。
さらに、大企業と中小・零細企業勤労者間の「生活の質」の格差がさらに広がるという問題もある。大企業では来年から週休2日制を実施するが、20人未満の零細企業は7年後まで待たなければならない。労働部では、労使間の合意で中小・零細企業でも週休2日制を繰り上げ実施でき、その場合には1人当たり月60万ウオンを支援するとしている。
週休2日制の法制化で、企業にとって生産性向上が至上命令になっている。全国経済人連合会、大韓商工会議所など経済5団体の会長らは1日、緊急会合をもち、生産性向上のための汎国民的運動を展開しようと呼びかける内容の文書を発表した。
全経連調査では、週休2日制で人件費負担は9%増加する見通しだ。大企業関係者は、「人件費負担は生産性を高めることで克服するしかない。業務の効率性を高める対策も急がれる」と述べた。すでに多くの大企業で、一定時間内では業務以外のことは排除する集中勤務制を取り入れるなど業務効率向上に取り組み始めている。
サムスンはすでに構造調整本部とサムスン経済研究所で生産性向上の具体案作りに入っている。またLGも作業部会を構成し、対策に着手した。
一方、観光・レジャー産業などで週休2日制を活用しようとする動きが起こっている。ホテル業界は新たに金曜日午後からの3泊4日の旅行プランを開発中であり、現代自動車はRV車需要が増えるものと見て本格的なRV車開発に着手した。劇場、音楽、ゲーム、放送業界も需要増に対応を急いでいる。
韓国労働研究院は、週休2日制で68万人の働き口が新たに創出されると予想している。また、観光・レジャーなどの産業が発達すればGDPを4・7%押し上げる効果があると
する見通しも出ている。