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2003/07/18

<総合>投資減税で成長エンジン点火

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    昼食をとりながら下半期経済運営について論議する盧武鉉大統領(右端)

 政府は14日、盧武鉉大統領主宰で果川総合庁舎で経済・民生点検会議を開き、下半期(7-12月)経済運営方向を決めた。その最大の目玉は投資活性化のための大幅な投資減税で、企業が設備投資する時、投資金額の一部を法人税から非課税扱いにする臨時投資税額控除率を現行の10%から15%に拡大した。また、多国籍企業の地域本部誘致のため、外国企業の役職員の所得税を最高で半分に減税する。このほか研究開発投資への減税なども盛り込んでいる。落ち込んでいる景気を投資誘引で刺激し、成長潜在力を引き出そうという考えだ。

 下半期経済運営方向を発表した金振杓・財政経済部長官は、「現在のままだと投資不振が継続し3%台の成長も困難だと判断し、強力な投資活性化対策をまとめた」と明らかにした。

 方榮?・財経部総括審議官は、「設備投資減税がもっとも強力な政策だ」と説明。事実、従来100億ウオンを設備投資すれば10億ウオンが税金から控除されたが、それが15億ウオンに拡大したのだから効果は大きい。この恩恵を受ける企業は1万2000社に達し、減税効果は2000億ウオンにのぼると推定される。7月1日から年末までの時限付きで実施される。

 また、企業の設備投資資金を早期回収することを支援するため、投資した事業用資産に対して減価償却期間を来年6月末に大幅短縮する。企業の研究開発・人材開発費に支出される金額に対しては税額控除を拡大するだけでなく、企業の税金が低くなりすぎることを防ぐため租税減税の適用を一部排除する「最低限税」制も緩和する。この制度のため研究開発にブレーキがかかっていた面がある。

 今回の政策の中で投資減税とともに注目されるのは外国企業の外国人CEO(最高経営責任者)・役職員が所得税を納付するとき、現行の9-36%の累進税率の代わり、所得と関係なく18%の単一税率も選択できる特例を認めている点だ。これにより、所得1億ウオン以上であれば、最高税率36%が適用され3600万ウオンの税金を納めていたのが今後は1800万ウオンに半減される。この有利な方を選択できる破格的な措置に対して、駐韓外国企業からは一様に歓迎の声が聞かれ、マルコス・コメズEU(欧州共同体)商工会議所会長は、「これは多国籍企業が韓国にアジア太平洋地域の本部を置き、安心して事業をできる雰囲気をつくるものだ」と述べた。

 下半期経済運営方向には、企業投資活性化、地方経済活性化、海外投資誘致、労使改革、証券市場活性化などの対策が盛られている。

 首都圏から地方に移る企業に対しては税軽減を拡大することも打ち出した。労使問題については、青瓦台(大統領府)の政策担当者から出されたオランダ式労働者の経営参加論がまだ決着をみていないので、具体的な対策は討議を経て8月から10月中にまとめることにした。

 労使問題は「法の順守」を原則にし、スト期間中にも賃金を払うなど国際基準に照らし不合理な労使慣行を改善し、正社員と非正社員間差別を改める方針だ。労使問題は国内外投資拡大の最大の足かせになっており、盧武鉉大統領も「今後は業種別・地域別に労・使・政委員会を構成し、産業現場での紛糾を効率的に解決しなければならない」と訴えた。

 ◆ 解説 ◆

 今回の破格的な投資減税や外国企業の外国人役職員に対する所得減税は、経済の現状に対する政府の危機意識を反映している。当初、年間成長率を5%に設定していたが、投資と内需不振が予想以上に大きく、実際に「このままでは韓国経済は成長エンジンを失いかねない」という不安が現実化していた。

 政府は今回の政策発表に際して、「国内設備投資と外国人投資が目に見えて減っており、このままいけば成長潜在力を毀損する恐れが強い」と述べ、今年の成長見通しを3%台半ばに引き下げた。もし投資刺激策を講じなければ3%を下回るのは確実と、初めて韓国経済が通貨危機以来の不況局面にあることを認めた。

 すでに政府は4兆5000億ウオンの追加更正予算編成、自動車や家電製品の特別消費税引き下げなどの措置を講じており、韓国銀行も2度にわたりコール金利を引き下げた。これらの一連の政策から見て、参与政府の掲げる分配政策はやや後方においやられ、成長重視に傾いたようだ。

 青瓦台の参謀を連れヘリ機で京畿道の果川政府総合庁舎に来た盧武鉉大統領は、「今後5年間、毎月1回、経済・民生点検会議を持つ」と述べ、政策の進展状況と完成度を把握できるよう報告様式から変えるよう」注文をつけたが、経済運営はいま重要な局面にさしかかっているといえよう。