イラク戦争の早期終結に続き、朝米中3カ国協議の23日開催が決まり北朝鮮核問題は対話解決の方向に向かい始めた。バクダッド陥落以降、上昇を続けていた韓国の総合株価指数は、この3カ国協議開催決定のニュースが流れた16日、前日に比べ17ポイント上がり620台を回復した。また、外為市場もウオン高に転じるなど金融市場は急激に安定を取り戻している。経済的課題はなお山積しているが、いつ戦争が起こるかわからない不確実性が緩和されることによって経済環境は改善され、「政治と経済の密接不可分性」を改めて強く印象づけた。
一時500割れ目前だった総合株価指数は5日連続して上昇、1月23日(625・18)以来初めて620台を回復し、621.34をつけた。翌17日はやや下げたが、これは前日の急騰の反動しみられる。
特に、これまで売り一色だった外国人の純買いが1月15日以来3カ月ぶりに1000億ウオン以上に達した。
外為市場でも8日間連続してウオン高となり、1215・9ウオンをつけた。今年に入って一番のウオン高だったときよりさらに43ウオン切りあがった。金融市場でのカントリーリスクも改善、国民銀行が最近、シンジケートローン方式で1億2000万㌦の長期借り入れ(1-3年)に成功した。国策銀行の産業銀行を除けば、3月10日の北朝鮮のミサイル発射と11日のSKグローバル事件以降、金融機関による初めての外貨調達だ。
原油をほぼ全量輸入に依存している韓国経済にとっては、イラク戦争が早期に終結し原油価格が下落しているのも好材料だ。原油の国際価格は、戦争が勃発した先月には1バレル=30㌦(ドバイ原油価格基準)にまで跳ね上がったが、最近では23㌦内外に安定しており、今後さらに下がりそうな値動きをしている。
韓国銀行の分析によると、原油価格が年平均1㌦あがれば韓国の経常収支に12億㌦の負担がかかる。逆に原油価格が下落すれば経常収支改善効果はもとより、物価安定に直結する。今年に入って継続的な原油価格上昇と農産物価格の急騰で先月の消費者物価上昇率は4・5%にまで跳ね上がり、年間では4%以上上昇すると心配されたが、原油価格が下落すれば、石油製品と各種工業製品価格の下落に結びつき、物価面での安定も確保できる。
世界経済にはまだ不確実性が多く残っており、特に世界経済の機関車である米国経済の回復いかんが大きな鍵を握っている。サムスン経済研究所ではこの点について、「今年に入ってどこを見ても経済にいい信号はほとんどなかったが、イラク戦が早期終結し、北朝鮮の核問題が解決の糸口をつかんだことで、経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)改善の期待感が高まっている」と見ている。
だが、不確実性が散在しているため、悪材料が突出すれば金融市場はただちに冷却化するとの見方も多い。LG研究所の研究員は、「イラク戦が終結したといっても、中東情勢の不安感は依然としてあり、北朝鮮の核問題もやっと対話が始まると言うだけのことで楽観はできない。特にSKグローバル問題やカード負債問題も未解決のままであり、経済状況は安心できない」と警戒を緩めていない。いずれにしても、イラク戦争が勃発し、「イラクの次は北朝鮮だ」と危機が高潮した時と比べて国際情勢は大きな変化を遂げており、対外変化の影響をもろに受ける韓国にとって経済を取り巻く対外環境は大きく改善されつつあると見て間違いなさそうだ。