インサイダー取引疑惑に端を発し、創業一族の崔泰源会長(41)の逮捕にまで発展した財界序列第3位のSKショックの波紋が広がっており、99年の大宇崩壊のようにSKグループ解体の危機まで取り沙汰されている。特に、問題のSKグローバルの粉飾決算が1兆5000億ウオンに達する事実が明るみになるや、債権金利の暴騰、銀行株の暴落、投資家がファンドの中途解約に乗り出すなど金融市場を揺さぶった。関係者の間では韓国の国家信用にも傷がつくと影響の拡大を憂慮する声が高まっている。
SKグループの粉飾会計・インサイダー取引を捜査してきたソウル地検は11日、巨額の粉飾会計事実を発表し、崔泰源SK㈱会長とグループ構造調整本部長の2人を特定経済犯罪加重処罰法の背任などの嫌疑で拘束起訴した。また、孫吉丞SKグループ会長(全国経済人連合会会長)ら8人を不拘束起訴した。
検察によると、崔会長らはSKグローバルの2001会計年度に銀行残高証明書を偽造、1兆1881億ウオンの銀行借入金を隠し、売上債権を過大計上するなどの方法で1兆5587億ウオン規模の粉飾会計をした嫌疑だ。検察関係者は、「不渡り企業でなく、経済活動をしている企業で摘発した粉飾会計額としては史上最大規模であり、SKは事実が発覚するや95年ごろから組織的に粉飾を管理してきた」と明らかにした。
特に、今回の捜査結果発表で、「SK企業捜査所感」と書いた文書を配布、「支配構造と透明性で治癒できない程度の道徳的癌にかかっていた」と強調した。もはや逃れられないと判断した崔会長は13日、粉飾会計の責任をとってSKグループ系列社のすべての保有株式を債権団に担保として提供した。崔会長が提供した株式はSK㈱の5・2%をはじめ、SKC(7・5%)、SKケミカル(6・84%)、SKグローバル(3・31%)などの上場系列会社(時価1000億ウォン相当)とSKC&Cなど非上場系列会社の保有株全量だ。これを受けて、債権銀行団は19日に全体会議を開き、SKグローバルを銀行の共同管理下に置くことを決める。崔会長はSKグループに対する所有権だけでなく経営権を失う可能性がある。
金融界の幹部は、「今後、SKグループ系列の健全会社が独立経営を展開するなど、SKグループの支配構造に大きな変化が予想される」と展望した。事実、ハナ銀行など債権団は、SKグループに対して債務延長、出資転換などの支援を行う代わり、グループオーナーの崔会長の責任を問い、系列社間の連結を絶って専門経営者中心の独立経営体制への転換を構想しているといわれる。ちなみに銀行債権団がSKグローバルに融資した金額は4兆ウオンに達する。
SKグローバルの粉飾会計摘発で痛手を蒙る系列会社は多い。同社の持ち株構造が崔会長をはじめ、SKC、SKケミカル、SK証券など系列社で50%を超えているからで、事実連鎖的な被害を受けている。例えば、SKCは昨年度の推定利益のうち、経常利益を当初の546億ウオンから220億ウオンに再公示した。持ち株評価に伴う損失を反映せざるをえないからだ。また、販売網を依存しているSK㈱も直接的な打撃が予想される。SKグローバルは売上高18兆ウオンのうち、エネルギー販売部門が7、8兆ウオンに及び、SK㈱から石油提供を受けて全国3800のガソリンスタンドで販売しているからだ。