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2003/03/07

<総合>ITに代わる戦略課題を

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    新政府の初閣議に先立って国旗に向かって敬礼する盧武鉉大統領(手前左)、高建総理(同右)をはじめとする新閣僚ら(青瓦台本館会議室)

 「参与政府」の初閣議が4日、盧武鉉大統領主宰で青瓦台本館で開かれた。メインテーブルには閣僚だけが座り、青瓦台秘書陣らは後の座席に就くなど従来とは座席配置も異なる中、各部署長官の報告にとどまらず大邱地下鉄事故などの案件を集中討議、初閣議しては史上最長の3時間を超える長丁場となった。この閣議で盧武鉉大統領は経済政策に関して、「新政府の経済政策が急がれるのは事実だが、短期的な処方にのみこだわらず、中長期的な国家政策が作られなければならない」と述べ、戦略的な経済政策課題を3月末までに提示するよう指示した。

 盧大統領は、中長期経済対策と関連、「閣議の討論課題として上程し、長官と実務者協議を経て、遅くとも3月末までにビジョンを示してほしい」と述べ、ビジョンが法制化され予算化されなければならないと強調した。このビジョンについて、「金泳三政府時代に携帯電話のCDMA(保護分割多重接続)技術が政府の重点課題に設定した。金大中政府時代にはIT(情報技術)産業を重点課題に採択した」と例をあげ、参与政府の新産業課題に特別の関心を示した。

 景気浮揚対策として、金振杓・副総理兼財政経済部長官から規制緩和などの案が出された。これに対して盧大統領は、「外国人投資を遅延させている規制を具体的に把握して、規制緩和が必要なものは部署別に提示してほしい。だが、景気浮揚のため規制を解くという印象は良くないのでそのような単語は使わないでほしい」と指示した。

 また、景気対策としては、経済関連大討論会を開催して今月末までに景気回復の方向を示すことが決まった。現在の景気状況は相当に厳しいものがあり、貿易収支まで2カ月連続の赤字となっている。内需を支えた個人消費は萎縮しており、1家族の金融負債が3000万ウオンと5年前の2・4倍も増える深刻な問題になっている現状からして、内需押し上げは容易でない。さらに米国のイラク攻撃があれば、すでに上昇している原油の高騰など悪材料が多すぎる。景気対策は盧政権の経済政策の試金石となりそうだ。

 ちなみに景気の先行きについては、金副総理が5日主宰して開いたKDI(韓国開発研究院)など国策研究機関長との懇談会で「景気減速は当分続く」との見通しで一致している。対策としては財政の前倒し執行などでてこ入れすべきとの意見が多かった。

 家計負債問題については、原因と流れを正確に分析して次に閣議で論議して総合対策を樹立する。この問題は「韓国経済のリスク要因」と認識、政府として本格的に取り組むというものだ。

 閣議はまた、大邱地下鉄大惨事など財産管理対策と関連、「財産管理庁」を新設し、総理室傘下に中央財産管理委員会を設置することを決めた。

 盧武鉉新政府の閣議は座席配置からして様変わりしていた。会議場中央のテーブルには盧大統領と高建国務総理、19人の閣僚の名札だけが置かれていた。「職級や比重に関係なく閣議の構成メンバーだけがメインテーブルに座るように」との盧大統領の指示によるものだ。

 従来は閣僚以外に青瓦台秘書室長、国務調整室長、通商交渉本部長、法制処長、国政弘報処長ら10人の長・次官級が同じテーブルに座っていた。また、これまでは陪席者として出席していたソウル市長がメンバーから除外され、代わって金融監督院長が出席した。青瓦台からの出席者は、従来8人の首席秘書官が常時出席していたが、今後は政策、民生、弘報の首席秘書官が事案ごとに出席することになる。

 閣議は9時から始まり、途中10分間の休憩をはさんで12時5分まで続いた。特に、盧大統領が予告した通り、「討議案件」を新設したことで、各長官の意見開陳が相次ぎ、熱気のこもったテーマ型閣議となった。この日の最大のテーマは約200人の死者を出す大惨事となった大邱地下鉄事故。話題の映画監督閣僚、大邱出身の李・文化観光部長官が熱弁をふるった。「いま大邱は(民衆抗争が軍により弾圧され多数の犠牲者を出した)80年の光州のように恐慌状態に陥っている。大邱市民の憤怒は大統領選挙後の虚脱感(大邱は敗れた野党ハンナラ党の最大地盤)と連結して尋常でない」と指摘、「単純な救助や対策レベルでなく、政治的・総合的な特段の対策が必要だ」と力説した。

 これに盧大統領は「極めて意味のある意見だ。汎政府レベルの具体的措置が必要だ」と同調し、「大邱市民の恐慌状態を克服できる総合対策をまとめてほしい」と李長官に要望した。

 新任女性閣僚からも相次いで発言があった。イヤリングが目立つ46歳の康錦実・法務部長官は、「(政府は)よく市民意識が問題だと安全意識鼓吹キャンペーンを展開するが、ことの後先が違っている。職務を怠慢にし施設物管理を疎かにした政府が国民のせいにしてはいけない」と強調するや、「安全意識教育は必要だ」と反論が飛び交った。韓明淑・環境部長官は、「歴代事件で事後薬効方式の対策が出て、時間過ぎれば忘れてしまう。参与政府は違うことを示さねば」と力説した。

 こうした論議を経て高総理は、中央安全対策委員会の委員に李文化観光部長官を任命した。同委委員に文化観光部長間が任命されたのは初めてだ。
このほか、景気低迷に対する議論もなされたが、特定テーマをめぐって各部長官らが活発に議論を展開するのはこれまでみられなかった光景だ。今後、このようなスタイルが定着しそうだ。