盧武鉉新政権の初内閣の輪郭が見えてきた。国務総理には総理経験者の高建氏(65)が正式に内定、主要閣僚も副総理兼財政経済部長官に金鍾仁・元青瓦台経済首席秘書官、副総理兼教育部長官には李慶淑・淑明女子大学総長らが有力視されている。今後本格的な人選作業が始まるが、内閣人事は来月10日ごろに最終確定する見通しだ。特に今回の閣僚人事ではオンライン、オフラインを通じて一般国民の推薦を受け付ける一方、人選作業に市民団体関係者と学者、言論人ら民間からも参画させ、「国民から信頼される内閣」をめざしている。
注目の総理に高建氏に白羽の矢が立ったのは、盧次期大統領が繰り返し強調してきた「改革大統領-安定総理」を国政運営の要として描いていたからだ。盧次期大統領は22日に内定発表をしたが、来月25日の大統領就任1カ月以上も前に総理が内定するのは異例の早さだ。
これは盧次期大統領の高氏への入れ込みもあるが、少数与党として最大野党・ハンナラ党など超党的な支持とりつけも狙ったものだという見方もある。韓国では閣僚のうち総理だけは国会の承認を受けなければならない。現政権下で昨年末に2度の総理承認否認騒ぎがあっただけに、行政手腕に定評がある高氏を起用することで国会審議でのトラブルを回避できるという判断だ。
盧次期大統領は分権的に国政運営すると公言しており、自らは国家プロジェクトとして打ち出している東北アジア経済中心国家の建設、地方分権の実現など重要課題を担当し、「行政の達人」といわれる高総理にはその老練な行政経験を生かして日常的国政運営に当たらせる考えだ。
高氏は30年以上に及ぶ公職生活の中で、交通部・農林水産部・内務部の各長官、官選ソウル市長を歴任した。金泳三大統領時代の国務総理を経て、88年に民選ソウル市長に選ばれた。盧次期大統領との因縁は、このソウル市長候補選びでだった。当時、盧氏は自らもソウル市長に立候補したい意思があったが、高氏に譲歩した経緯がある。その2年後、海洋水産部長官に任命された盧氏は、国務会議に何度も参席した高市長に対し、「卓越した行政家」のイメージを抱いた。
盧次期大統領は当選直後、高氏に総理就任の意向を打診したのも、このような流れがあったからだ。高氏以外に呉明・亜洲大学学長らの名前もあがっていたが、早くから高氏を意中の人と考えていたことを窺わせる。
総理指名を受けた高氏は、「安定の中で確実に改革を実行し、国政刷新に努め、和合の社会をつくりあげたい」と所感を述べた。
高総理内定で今後、組閣作業が本格化する。改革派が大挙抜擢される見通しだったが、安定重視の高氏の意向もあり、予断を許さなくなってきた。
副総理兼財政経済部長官人事では、有力候補の金鍾仁氏のほか司空壱・元財務部長官の名前も浮上している。これは盧次期大統領が財閥改革は公正取引委員会や金融監督院など監督機関に任せ、国際経済に明るい人材の起用に傾いているからだといわれる。副総理兼教育部長官には李慶淑以外に金明子・環境部長官、国民統合推進委員会出身の朴錫武・元議員らの名前があがっている。また、国家情報院長には辛建院長の留任が有力視されているが、金辰浩・土地公社社長を推す声もある。
一方、大幅改編が予告されている青瓦台(大統領府)人事では、今回格上げが確実視されている政策企画首席秘書官に金振杓・国務調整室長兼大統領職引継ぎ委員会副委員長が事実上内定している。青瓦台改編で盧次期大統領は、統一外交、国家安保、人事、治安については米国のような補佐官制度の導入を検討しているといわれる。