盧武鉉・次期大統領の国政運営スタイルが従来とかなり違うものになりそうだ。「庶民派大統領」と呼ばれるだけあって、すでにその片鱗を覗かせており、大統領職引き継ぎ委員会に国民提案センターを設置、広く国民から政策提案や閣僚人事推薦を受け付けているのはかつてないことだ。また、討論を重ねて政策を決定・検証する「討論文化」の定着もめざしている。国民世論を十分に汲み上げるシステムにしようという狙いであり、効率的な青瓦台(大統領府)にするため、大幅な組織改編も検討されている。外交スタイルにはどのような変化があるのかも注目される。
国民提案センターは10日にオープン。盧次期大統領はソウル世宗路の政府中央庁舎別館1階で行われたオープン式で「国民提案が一般化し、多くの国民に慣れてもらえれば大きな効果が生まれるだろう」と述べた。提案はオンライン、オフラインともに受け付けており、14日までに①政策提案6385件②18部署の閣僚人事推薦1067件(被推薦者689人)にのぼるなど反響を広げている。
盧次期大統領は15日、このような反響をみて、「大統領就任後も国政に対する国民の参加のため国民提案センターの機能を青瓦台に移管、引き続き維持できるシステムを構築するよう」指示した。受け付けた提案や人事推薦については、「推進可能な提案と統計的整理は国民に正式報告し、提案内容をデータベース化して就任後に青瓦台で引き続き検討・管理する計画」だ。
また、「討論文化」を新政権の重点課題に設定したのも、新しいスタイルだ。盧次期大統領は14日の引き継ぎ委全体会議で、「他人を批判し相手の理論を屈服させるための討論もあるが、よりよい結論を導き出すためすべての決定を討論で検証する実質的な討論過程を経なければならない」と指摘、討論を国政運営の原則の1つにすることを提案。
盧次期大統領はこの中で、「人々が冷笑的ソウル共和国、公害共和国と言うが、私は討論共和国といわれるほどに討論を日常化したい」と持論を力説した。このような発言からみて、次期政権では政策決定、会議・報告過程では討論を通じて検証がなされそうだ。
青瓦台の大幅改編も予告されている。政務ラインと政策ラインに分けて業務を分担、より効率的な秘書室の役割を担わせたいという考えだ。これに対して秘書室長に内定した文喜相氏は、「政策総括チームを新設し、経済・福祉・文化などの首席秘書官制度を廃止する」考えを表明。
これと関連、盧次期大統領は、最近政界で話題になっている「大統領の成功条件」という本を耽読しているという。著者のひとり、朴世一ソウル大教授(元青瓦台政策企画首席秘書官)と面談、新政権の国政運営に関して助言を受けたといわれる。この本では秘書室業務を純粋秘書業務と戦略企画業務に分け、戦略企画中心の効率的な運営が必要だと主張している。