青瓦台(大統領府)、国会、最高裁判所、中央行政機関など85の国家機関と韓国電力公社、韓国科学技術政策研究所、気象研究所など200余の公共機関を新行政首都に移転する一大国家事業が具体化し始めた。新行政首都建設推進委員会(民間側共同委員長=金安済ソウル大教授、政府側共同委員長=国務総理)は15日、第3回会議を開き新行政首都候補地に①陰城・鎮川郡(忠清北道)②天安市③公州市の長岐面・燕岐郡④論山市・公州市の鶏龍面(以上忠清南道)の4カ所を選定し、その第一歩を踏み出したからだ。関係専門家による評価作業などを経て8月中に候補地を1カ所に絞り込み、10年後の2014年移転完了をめざしている。
この行政首都移転計画は、盧武鉉大統領の選挙公約だったが、肥大化する首都圏の人口分散のため過去何度か構想され、70年代の朴正盧大統領時代に今回も候補地にあがった燕岐郡に白羽の矢が当たったこともある。今回の計画に対しては野党や首都圏自治体から反対論もあるが、新たな国土改造に期待を寄せる声は少なくない。
新行政首都建設推進委は「均衡発展性、開発可能性、保全必要性などの候補地選定基準に合った地域の中から、人口50万人を収容できる760平方メートル内外の規模の開発可能面積をもった4地域を選んだ」と説明。推進委は17日の会議で評価点数公表を7月1日に決めたが、下馬評で公州市・燕岐郡が最有力地にあがっている。
◆今後の日程=21日から1週間かけて4候補地に対する評価作業を行い、7月1日にその点数を公表、公聴会などを経て8月に立地を最終確定。来年1月から土地収用を本格化する。
2006年6月に実施計画を樹立、2007年7月から基盤工事に着手、2009年から住宅分譲を開始。2011年までに主要国家機関の建設を終え、翌12年から14年にかけて行政機関の移転を完了する。20年までに人口30万人、30年までに最終目標の50万人を収容する計画だ。
◆建設費用=2030年までの行政首都建設費用について、政府は45兆6000億ウオンと試算。うち政府支出は11兆3000億ウオンと見積もっている。韓国土地公社によると、青瓦台、国会議事堂、政府総合庁舎、最高裁判所、国防部など10余の主要庁舎と敷地売却価格は15兆ウオンに達する。財源に問題はないというのが政府の判断だ。だが、45兆6000億ウオンは2003年1月1日の人件費、資材費などの工事単価を適用したものであり、物価上昇なども考慮に入れると、最大120兆ウオンに達するとの反論もある。
建設交通部は来年から基本設計やアイデアの国際公募を開始する。
◆投機抑制=4候補地を中心に投機熱が起こると憂慮されている。すでに昨年から忠清圏では地価上昇が目立っていた。当面の対策としては、候補地中心から半径10キロ以内を土地取引特例地域に指定して取引を制限する。また建築許可制限も強化する。
◆反対勢力=政党で最も強く反発しているのは最大野党・ハンナラ党。盧大統領は「行政首都計画は参与政府の核心課題であり、政府の命運、進退をかけて必ず実現しなければならない」と強調したが、これを「国民に対する脅迫だ」と批判。だが、反対派の民主労働党は表だった動きを見せていず、民主党は模様眺めだ。自民連は賛成に回っている。気になるのはソウルや仁川、京畿道、江原道など首都の反対勢力の動きだ。ソウル市議会は29日にソウル広場で3万人規模の「首都移転反対決起大会」を開き、署名運動も展開する計画だが、各種世論調査結果を見ると、移転賛成は60-70%以上と多数を占めている。