復権した盧武鉉大統領が活動を開始した。約2カ月の「休職」を挽回するかのように精力的に動いており、最初に手をつけたのが青瓦台(大統領府)の職制改編。市民社会首席秘書官を新設するなど秘書陣を40人から48人に増やす一方、大統領主宰の経済長官会議を開き、今後毎月経済点検会議を毎月開催することを決めた。また、25日には財閥総帥ら経済界代表を招き、率直に意見交換する予定だ。盧大統領は憲法裁判所の弾劾棄却を受けての対国民談話で民生問題の解決など経済問題に専念すると明らかにしており、経済再建への手腕が試されている。
投資を活性化し雇用を創出する―。これが当面最大の経済課題であり、その意味で注目されるのが財界人との懇談会だ。サムスン、LG、現代自動車、SKなどトップ財閥総帥をはじめ、全経連、大韓商議、貿易協会の経済3団体長も参加し、投資活性化と労使安定などについて虚心坦懐に論議する予定だが、経済政策をめぐる不協和音を解消、政府と企業が一体となって経済再建に取り組める体制づくりが緊要だろう。
経済懸念は多いが、業績がいい大企業に対し極度に不振な中小企業、広がる所得格差など経済の両極化現象が深刻化しており、これに対してどんな処方箋を講じるのかも注目点だ。
経済の両極化現象を示す数値は多い。例えば、韓国銀行が発表した昨年の企業経営分析によれば、大企業は経常利益率が前年の5・4%から6・0%に高まったが、中小企業は逆に3・4%から2・5%に低下した。特に製造業のうち2社に1社は赤字に陥り、利子も払えない企業も26%に達している。特に地方経済は深刻で、廃業・転業する中小企業が増えている。
所得格差については財政経済部が最近まとめた所得不平等度を示すジニ係数(ゼロに近いほど平等度が高い)が参考になる97年の0・283から昨年は0・306を記録、依然として0・3台にある。また、労働者間の格差も広がっており、正社員の比率が低下する一方で臨時雇いが増えている。4月の失業率は3・4%を記録、前月より0・4ポイント低下し失業者は7万人減ったが、新規採用の大部分が日雇い(6万人)、臨時職(5万人)だった。
盧大統領復職後の最初の経済実践がこの労働者間の格差是正だった。政府は19日、公共部門全体の非正規職23万4000人のうち、60%に当たる13万8856人に対する処遇改善を発表した。各級学校の栄養士、図書館司書ら4600人を公務員として採用し、環境美化員と道路補修員羅2万6600人を臨時職から常用に変えるなどかなりな規模の処遇改善だ。
公共部門で非正規職問題の解決を図り、民間部門への波及をねらったもだが、財界では労働市場の柔軟性を損ねるものと反対、論議を呼んでいる。そうした中、非正規職などとの賃金格差縮小を先導するため賃金(基本給)凍結に合意したポスコのような動きもある。
一方、400万に迫る信用不良者救済のためバットバンクが20日から事業を開始した。救済の対象となるのは、500万ウオン未満延滞者の180万人。金額にして30兆ウオンにのぼる。このような経済懸案解決へ向けての新たな流れが、今後具体的に同展開されるのか注目される。