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2004/12/17

<総合>政府5%目標、研究機関4%以下

 来年の経済見通しをめぐって政府と研究機関の間で論争が起こっている。韓国銀行とKDI(韓国開発研究院)が最近相次いで来年の成長率は4%にとどまるとの展望報告書を発表しており、民間研究機関の中には3%台、さらには2%台の見通しもある。これに対して、政府は韓国版ニューディール政策(大規模総合投資計画)を通じて5%台の成長は可能だと反論しているが、今年の成長を支えた輸出環境の悪化も予想され、楽観はできなくなった。

 李憲宰・副総理財政経済部長官は15日、ソウル市内のホテルで開かれた「東北アジア金融ハブ(拠点)セミナー」後の記者の質問に答え、「最近は成長率展望を低くする競争をしているようだ。その報告書をみれば、まるでジェットコースターに乗って悲鳴をあげているような印象を受ける」と述べた。

 政府は、来年の経済は潜在成長率より1ポイント程度低下する要因はあるが、大規模総合投資計画などを通じて5%台の成長が可能だと繰り返し強調してきただけに、相次ぐ低め予想に対し不満をもらしたものだ。

 KDIは総合投資計画に対しても「モラルハザードで非効率的な事業を推進する可能性がある」と批判、「景気状況に照らし、拡張的な財政政策が必要であるが、新しい事業を無理に発掘するよりは検証され計画された事業を優先的に実施するのが望ましい」と主張した。総合投資計画はGDP(国内総生産)の1%に当たる7-8兆ウオンに達する見通しだが、KDIは、GDP押し上げ効果は0・2ポイントにすぎないと見ている。

 過度に財政に依存することに対する警官論もある。チョ東徹・KDI研究員は、「1000兆ウオンにのぼる全体金融資産の中で公共部門が外貨保有高200兆ウオンと国民年金130兆ウオンを合わせ300兆ウオンを超え、公共部門肥大化による非効率生が問題だ」と指摘している。

 特に、KDI報告書で注目されるのは、現在の経済難局について、短期的な要因だけでなく中長期的な成長潜在力下落からくるもの診断している点だ。まず、民間消費回復が予想より遅延しているのは、個人の仮処分所得がIMF危機前には12・4%増加していたが、1999年以降は5%に低下、その一方で国民年金など社会福祉費が1991年から97年までの年平均46%増から99年から2002年には46%に増えている構造的要因にある。また、中小企業の経営が悪化しているのは景気不振だけでなく技術と生産性などが低下した構造的な問題に起因している。従って、経済全般の生産性を向上させなければ成長潜在力は墜落するしかないという指摘だ。

 金仲秀KDI院長は、「無理な対策で短期的な成長を図るには望ましくない」として、経済全般にわたる生産性向上で対処するよう求めている。

 だが、冷え切った内需と企業活力を早期に取り戻さなければならない。政府が総合投資計画を立案したのもそのためであり、来年度予算(一般会計)も昨年より9・5%増の131兆5000億ウオンで編成した。

 いずれにしても、来年の韓国経済はさらに機微新環境にさらされそうであり、経済難局に対して一致して対処できるよう青写真を提示する必要がありそうだ。