世界造船業界の注目を集めた総額35億㌦にのぼるLNG(液化天然ガス)運搬船発注プロジェクトで、韓国メーカーが大勝利を収めた。大手石油会社のエクソンモービルとカタール国営石油会社の共同発注によるこのブッグプロジェクトには全世界の有力造船メーカーが入札したが、結果は現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋の国内造船業界ビッグ3が発注された16隻を事実上独占する圧倒的な競争力をみせつけた。
エクソンモービルとカタール国営石油会社は、史上最大規模のLNG運搬船プロジェクトを進めており、今回の入札は7月に続き2回目。7月の時は発注した8隻のうち、すべてを韓国メーカー(大宇造船海洋が7隻、サムスン重工業が1隻)が受注した。今回の第2次発注でも大宇造船海洋が4隻、コンソーシアムを組んだ現代重工業とサムスン重工が4隻をそれぞれ受注した。残り8隻も国内造船メーカーが3-6カ月後に受注できるオプションを獲得、事実上入札16隻すべてを韓国メーカーが受注したことになる。
国際入札でかつてない大勝利だが、カタール側は年内に第3次発注(24万トン級超大型LNG船12隻)を予定しており、韓国メーカーの快進撃がどこまで続くのか世界造船業界は注視している。
今回の第2次発注のLNG船の大きさは21万6000トン級。1隻当たり2億㌦を超える高価船だ。一次と2次の合計発注量24隻は金額にして53億㌦にのぼる。特に第2次で現代とサムスンがコンソーシアムを組んだのは注目すべきことで、過当競争を避け納期を繰り上げるための作戦だという。両社は、受注した4隻を折半して建造する。
今年に入って全世界で発注されたLNG船は51隻。そのうちの45隻を韓国メーカーが受注しており、受注率は実に90%を占める。日本は4隻で大差をつけられている。
韓国造船業界は今年、全世界から受注した船舶は上半期実績で906万総トン(船舶数256隻)で史上最高を記録。ライバルの日本に2倍以上の差をつけた。今回のLNG船商戦の成功で、さらにその差を広げ、世界シェアは70%近くに達した模様だ。業界関係者は、相次ぐ受注成功について、「船主の要求に応じて、多様な船舶を造ることのできる研究開発能力を備えており、コンテナ船の受注の増えている。特に高度な技術を擁するLNG船での成功は、韓国造船技術が世界最高水準であることを示した。今回、現代とサムスンが共同戦線をとったのも注目すべきことだ」と述べた。韓国造船業界は2008年までに作業量を確保しており、好況は当分続きそうだ。
◆LNG運搬船◆
天然ガスをマイナス162度まで低温で液化したLNG(液化天然ガス)を運ぶ専用船。天然ガスは液化すると体積が600分の1になるため、船舶による大量輸送が可能。超低温輸送のための特殊なタンク材質や、荷役時の自己を防ぐ緊急遮断装置、輸送中に帰化した天然ガスを燃料として使う特殊なタービンエンジンなど多くの先端技術を駆使したハイテク船で、船価も高い。天然ガス生産国の中東諸国やインドネシア、マレーシア、オーストラリアでLNG船の発注が多い。韓国メーカーはこの分野を得意とし、特に大宇造船海洋はトップメーカーだ。LNGは燃焼させても硫黄酸化物が発生せず、石油・石炭と比べて二酸化酸素の発生量が少なく、クリーンエネルギーとして近年、脚光を浴びている。