財政経済部の公的資金管理委員会は27日、大手機械メーカーの大宇総合機械の売却先をめぐる全体会議を開き、斗山重工業を最優先交渉対象者に決めた。反対する労組の説得や今後の交渉過程を見守らなければならないが、99年の起亜自動車売却以来、最大の買収劇は事実上、斗山に軍配があがったようだ。斗山は大宇総合機械の買収で資産総額が12兆ウオンに跳ね上がり、財界ランクも12位から9位にアップするが、これを契機に重工業主体に大変身を遂げそうだ。
大宇の入札には斗山重工業以外に暁星やペンテック・ウリ株主組合などが参加した。斗山の入札価格は1兆8000億ウオンで、2位の暁星(1兆3000億ウオン)と比べても圧倒的な差をつけ、価格が最大の決め手となったようだ。今後、大宇側との交渉を経て、12月初めには最終価格を決め、本契約を結びたいとしている。
斗山では、一部の噂とは異なり、大宇総合機械を独立した子会社として維持し、合併や分割などは検討しないとしている。R&D(研究開発)投資や設備投資などを強化し、大宇総合機械を2010年までに世界トップ5の機械メーカーに育て上げる構想だ。
大宇総合機械の昨年度売上実績は2兆3140億ウオンで、斗山重工業の2兆677億ウオンをやや上回る。問題は事業内容だが、斗山がボーラー、タービンなど発電事業のウエートが大きく、海外では中東、東南アジアに強い。一方の大宇は、掘削機やフォークリフトなどの建設重装備に強く、中国や欧州での活躍が目立つ。両社が一体となってグローバルネットワークを構築すればシナジー(相乗)効果が大きいと見ている。
斗山重工業関係者は、「受注専門メーカーであるため、景気変動に浮沈が激しい当社の弱点を補完してくれる」と期待している。斗山グループ関係者もまた、「斗山重工業は民営化後3年間、競争力向上のためのプログラムを実施、今年は最大の受注、株式価値3倍アップなどの効果をあげた。大宇総合機械にもこのようなノウハウを注入したい」と語った。
創業2世紀目に入った斗山。重工業グループへの変身が成功するかどうか業界の関心も高い。
◆斗山の構造調整◆
斗山はビールや焼酎ブランドで親しまれてきたが、1986年に事業を興し財界では108年の最長寿の歴史を誇る。
1952年にOBビールを買収、60年代に斗山建設、斗山飲料などを相次いで設立、財界10位圏の大企業集団に成長した。だが、97年末のIMF危機前から構造調整に着手、OBビールをはじめ消費財関連企業を相次いで処分する一方で、2001年に韓国重工業(現斗山重工業)、昨年には高麗産業開発を相次いで買収し、消費財から建設・重工業主体へと事業構造改編を図ってきた。今回の買収劇が成功すれば、建設・重工業関連の売上比率は一挙に84・3%(99年50.2%)に高まる。また、斗山重工業、HSDエンジン(船舶用エンジン)、斗山メカテック(機械)などの重工業だけをみると、昨年決算で売上比率はすでに58%に達している。
だが、業界の一角には、「斗山は重工業部門に力量を集中するといいながら、最近、食品や輸入車事業など無差別的な拡張を図っている」との指摘もある。