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2004/10/22

<総合>韓国・輸出2000億ドル達成

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 韓国が輸出2000億㌦時代に突入する。産業資源部によると、19日現在の輸出実績(通関基準)は前年同期比34・5%増の1969億9200万㌦を記録、早ければ22日、遅くとも週明けには2000億㌦の大台乗せが確実だ。これで韓国は、米国、日本、ドイツ、フランス、中国などに次いで世界12番目の輸出2000億㌦突破国に仲間入りする。産資部は、年間では2450億㌦に達し、ベルギー、香港を抜き10大輸出大国になる可能性もあると見ている。

 韓国で輸出統計がとられたのは政府が樹立された1948年から。輸出1億㌦を達成したのは6年後の64年。「輸出が生き延びる道」だった韓国は果敢な輸出ドライブ政策を展開、71年に10億㌦、77年に念願の100億㌦を達成した。この年、開発途上国で初の輸出100億㌦突破を記念する政府主催の盛大なセレモニーが行われもした。その後も輸出の快進撃は続き、95年に1000億㌦突破、そして9年後の今年2000億㌦の金字塔を打ち立てることになった。

 1億㌦を突破してから40年間で2000倍の輸出伸長を遂げたのは、世界20大貿易国の中で最速のスピードだ。世界シェアは0・007%から2・6%に高まった

 輸出商品数も急増、64年には142品目にすぎなかったが、今日では8212品目にふくれあがった。その輸出品目の中身をみると、64年当時は魚介類、合板、綿織物が3大輸出品だったが、77年には衣類、船舶、履物、95年には半導体、自動車、船舶、そして今年は半導体、無線通信機、自動車へと変遷、韓国の輸出構造がより高付加価値製品中心の技術集約型に高度化していることを示している。また、輸出先も41カ国から230カ国(地域)に急増、貿易会社も600社から9万5000社へと160倍も増えた。

 政府は、ブロック化など新たな動きが大きな流れになっているが、2010年に貿易高7500億㌦(輸出3800億㌦、輸入3700億㌦)の世界8代貿易大国に進入すると見ている。

◆ポスト2000億ドルの課題◆

 韓国の40年に及ぶ高度成長は、輸出の急伸長の歴史そのものだった。

 輸出の成長寄与90%。つまり輸出なしには、ほんなわずかしか成長できないことを示す。輸出依存度30%。これはGDP(国内総生産)の3分の1近くを輸出が作り出していることを示す数字だ。また、雇用の17.6%は輸出により誘発されており、輸出がなければ400万人近い雇用が失われる。

 このように輸出は韓国の生命線であるといって過言でない。狭い国土に過剰な人口。見るべき天然資源にかける立地条件を克服するためとったのは貿易立国であり、そのための人材育成であり教育立国だった。韓国は世界で唯一輸出で貧困から脱出した国であり、輸出競争力を維持し、高付加価値製品を作り出すことができたのは、教育水準が極めて高い豊富な労働力の存在を抜きには語れない。

 ともかく、韓国経済発展に今後とも輸出増大が欠かせないだけに、ポスト2000億㌦時代の論議が必要だ。ではどんな課題があるのか。

 内需効果が少ない、特定品目の輸出に依存しすぎだ、素材や部品の海外依存度が高い、対日貿易赤字が深刻だという声が聞こえてくる。これは、新しい輸出エンジンをいかに創出するのか、主力輸出産業の高度化をどう実現するのか、FTA(自由貿易協定)など新たな貿易環境にどう対応するのかなどとも関連する問題だ。

 今年8月末現在までの半導体など5大輸出品の全体輸出比重はほぼ50%を占める。韓国貿易協会関係者は、「特定品目に対する輸出依存度が高く、これら品目の市場環境が悪くなればそれだけ全体輸出に及ぼす影響も大きい」と指摘する。対日赤字は8月末現在で158億9000万㌦に達し、年間では200億㌦を突破する勢いだ。全体貿易収支は黒字基調だが、突出した対日赤字の拡大を放置できないという声が次第に高まっていることも無視できない。

 貿易に対する長期的なビジョンも必要だ。IT(情報技術)、BT(バイオ技術)、NT(ナノ技術)など新技術分野の産業化基盤の拡充などは集中的に取り組むべき課題だろう。世界シェア1位の韓国製品は77品目にすぎず、政府は、500の世界一流商品を発掘、育成する計画だが、知的サービスの輸出強化も急がれる。その意味で映画が輸出産業化しているのは期待できる。

 また、米国や日本に一時は50%以上も依存していた輸出市場は近年急速に多角化しているが、すでに第1の輸出市場になった中国を含むロシア、インド、ブラジルのBRICs(新興大国)4カ国の市場開拓も重要な課題だ。だが、当面は輸出拡大が内需活性化に結びつく対策を講じることが重要課題だろう。