債権団の管理下にあるハイニックス半導体(旧現代電子)が完全復活への糸口をつかんだ。慢性的な赤字経営から抜け出し連続黒字を続けている。今年第2四半期(4-6月)は、6000億ウオンを超す大幅黒字を記録。半導体市況が回復し、資産売却をすすめて体力をつける中、生産性向上作戦が奏功したようだ。
ハイニックス半導体はソウル証券取引所でIR(企業説明会)を開き、第2四半期に1兆6981億ウオンの売上実績と6813億ウオンの営業利益(純益は6194億ウオンを記録したと発表した。前期に比べ売上は26%、営業利益は79%の増加だ。1983年の創業以来、四半期別で最大の利益だ。上半期(1-6月)利益は1兆ウオンに達し、期間中の設備投資額7000億ウオンを超えた。
特に注目すべきは、原価競争力を示す営業利益率(売上に対する営業利益の比率)が際立って高い40・1%を記録している点だ。これはサムスン電子の47%には及ばないが、ドイツのインフィニオン(16%)、米国のマイクロテクノロジー(9%)を大きく上回る。生産工程の効率性を高めたのに加え、フラッシュメモリーなど高付加価値製品の生産比率を高めた結果とみられている。
だが、半導体市況の回復を逃さなかった素早い判断力は、ハイニックスの力だ。もとより投資財源に余力はないが、好機到来と積極的に活用した。生産効率の高い0・13マイメークロトル工程を拡大し、収益性の高いフラッシュメモリーの生産を年初の2万枚から3万5000枚まで拡大した。そして、半導体価格上昇-不良品減少-生産拡大-原価競争力の好循環となった 。
今月20日には利川工場で300ミリウエハー(半導体原板)装備搬入式をもった。従来の200ミリウエハーと比べ生産性は40%ほど高く、最新鋭設備導入でさらなる原価節減が可能になった。
ハイニックス半導体は2001年に流動性危機に陥り、8兆ウオンに達する負債が大きな足かせになった。結局、債権団の管理下に入り、企業構造調整促進法の適用を受けて経営再建の途上にある。同法適用時限は2006年末。現在の負債残高は1兆5000億ウオンに減っており、現在のような利益が続けば期限を待たずに経営正常化は実現しそうだ。
債権団の管理下に入って以降、資産売却を進め、残った非メモリー事業部門も、米国のシティーグループ傘下のシステムセミコンダクターに9534億ウオンで8月に売却することが決まった。これも含め資産売却は2兆5000億ウオンに達した。
だが、課題が多い。半導体事業では継続的な設備投資が欠かせない。それも年間兆単位の巨額の資金が必要だ。この資金調達が大きな課題であり、例えばハイニックス側は中国での半導体工場設立を推進中だが、債権団は慎重な態度をとっている。
ハイニック関係者は、「特に、90ナノ(10億分の1㍍)工程を第3四半期に適用し生産効率をさらに高める」と述べたが、欧米の反ダンピング牽制にも対応しなければならない。完全復活なるのか、ここ1、2年が正念場だろう。