改革指向の強い李ヘチャン国務総理率いる盧武鉉政権第2期内閣が30日スタートを切った。1日には鄭東泳・統一部長官など3人の実力派新任閣僚も就任。盧大統領は今内閣には最大限、権限と責任を付与することにしており、これまでになく「強い内閣」となりそうだ。
李総理は、1974年の民青学連事件、80年の光州事件関連などで4年間の獄中経験がある初の「運動圏出身総理」だ。盧大統領の側近として、内閣統轄権の相当部分を付与すると見られている。
さらに、新たに任命された鄭東泳・統一部長官、金槿泰・保健福祉部長官、鄭東釆・文化観光部長官の3人の閣僚はいずれも重量級だ。特に、鄭・統一部長官と金・保健社会部長官はウリ党で議長、院内総務を務めた次期大統領の有力候補であり、鄭・文化観光部長官は2002年大統領選挙で盧陣営の秘書室長を務めた実力者。
内閣の重みは一気にました感があり、従来の「管理型内閣」から難題解決の「突破型内閣」になると観測されている。国務総理は国会で承認を得なければならず、過去何回か否決されたことがある。今回は賛成200票、反対84票、無効5票で可決された。ハンナラ党からもかなり賛成票が投じられたのは、一方的な改革ドライブに対して合理的な調整役が可能とみているからだ。過去の闘争経歴とは別に、この間の政治経験で丸みを帯びたという見方もある。
これまで党と内閣、青瓦台(大統領府)間にコントロールタワーが不在であったため、不協和音が後を絶たず、あらゆる問題に盧大統領が乗りださなければならなかった。今後、国政運営で新内閣が果たす役割が大きくなることが予想され、李総理が党・政・青3者間の調整役をどのように担っていくのかは大きな注目点だ。
李総理は30日、中央庁舎で行った就任演説で、政府革新と腐敗清算を推進するため、あらゆる部門で制度と慣行を替えていくと強調し、「法は公務員の所有物ではなく、国民の権利を保護するための規範であり、政府組織は官僚の専有物ではなく、国民のために作動する体系である」と述べた。
また、「国民のすべてがテロの脅威から抜けだし、ひいては韓半島に平和が構築されるように南北関係の発展と安定した韓米関係の土台の上に東北アジアの平和繁栄政策を強く進める」と力説。①経済活力回復と失業難解消のための投資活性化②規制改革③共生の労使関係形成④物価安定⑤疎外階層のための社会安全網強化などを政府の主要課題として提示した。
現在、国内外とも難題が山積している。特に経済問題は深刻で、政治の安定、政府と経済界の協調関係を求める声も強くある。新内閣の手綱さばきが期待される。
昨年7月以降、改閣は計10回に及ぶ。多くが小幅改革で、政府20部署(国務調整室含む)のうち、16部署のトップが替わった。盧政権出帆以来起用されているのは、康錦實・法務部長官、チョウ永吉・国防部長官、陳大済・情報通信部長官、池銀姫・女性部長官の4閣僚にすぎない。さらに、イラクでの金鮮一殺害事件を巡って、外交・安保ラインの更迭が10日ごろ予想されている。
頻発する閣僚人事について、青瓦台人事首席秘書官室では、「20部署の長官候補として593人の人材をプールしており、いつでも交代要員を提供できる」と説明している。だが、よほどの失策がない限り公約通り「2年任期」を貫徹してほしいという指摘もある。
◆ 新閣僚プロフィール ◆
李ヘチャン国務総理
忠南生まれ。52歳。ソウル大学社会学科卒。青年時代には、学生運動などで反独裁・民主化闘争運動の先頭に立つ。ソウル大在学中の74年に、「全国民主青年学生総連盟事件」で、金槿泰議員とともに逮捕され、80年の「金大中内乱陰謀事件」で再び捕まるなど、4年を刑務所で過ごした。88年の13代総選挙で、ソウルのカンアクウルで当選されて以来、5回連続で当選。95年には、ソウル市の副市長として、趙淳市長とともに行政の経験を積む。自他共に認める政策企画の専門家。金大中大統領は、彼を民主党政策委員長など政策責任者に3度起用。2002年には大統領選挙の選挙対策委員会の企画本部長として、参与政府の出帆に最も重要な役割を果たした。
鄭東泳・統一部長官
全北生まれ。51歳。ソウル大学国史学科卒。MBC政治部、社会部記者を経て96年政界入り。
96年の総選挙で、地域区(全州)の全国最多得票。金大中・前大統領が結成した国民会議でスポークスマンを務め、国民会議を継承した民主党でも最高委員を歴任。李ヘチャン総理とは大学の同窓生。前回の総選挙期間、老人蔑視発言でウリ党議長を辞任。
金槿泰保険福祉部長官
京畿道生まれ。57歳。ソウル大学経済学科卒。ソウル大在学中の71年、「ソウル大内乱陰謀事件」での手配され、民主化運動に身を染め、繰り返し手配や逮捕された。95年に、当時の民主党の副総裁として政界入り。96年の15代国会議員を始めとして、ソウル道峰地域で3度連続当選。盧武鉉大統領とは旧知の仲でありながら、言うべきことは言う関係。
鄭東采文化観光部長官
光州生まれ。54歳。慶熙大学卒。新聞記者などを経て、政界入り。マスコミ問題の専門家。80年、合同通信記者の時、マスコミ検閲撤廃運動で解雇され、81年から6年間米国で亡命生活。88年にハンギョレ新聞社に入社し、15代総選挙で初当選して以来3回連続当選。2002年の大統領選挙で、盧候補の秘書室長と政務特補佐官を務め、信任を得る。