第17代総選挙で執権与党・開かれたウリ党が過半数を制し、盧武鉉大統領の権力基盤が強化された。これにより、政局が安定し不確実性が減ることで、当面の最大課題である経済活性化へ向けて全力で取り組むことが可能になった。経済界も選挙結果を歓迎しており、株価は21日、4年ぶりの最高値929・95を記録した。だが、総選挙後の経済政策をめぐっては、「分配重視」をより強く要求する声が高まりそうで、国家目標である2万㌦経済の早期達成をめざす成長優先論との間で葛藤も予想されている。
選挙結果、299議席のうち実に62・5%が初戦議員で占められた。また、世代的にも30-40代が半数近い43・2%を占め、大幅に若返った。さらに、革新政党・民主労働党が44年ぶりに議席を占めるなど構成メンバーは様変わりした。このため、国会は様々な面で改革指向を強めると予想されるが、経済政策に関しては深刻な景気沈滞、43万人を超える青年失業者問題など厳しい現実を前にむしろ安定指向が強い。
韓国日報と西江大学社会科学研究所が当選者207人を対象に調査した結果、駐韓米軍の撤収や対北朝鮮経済支援で圧倒的多数のウリ党議員が賛成した。これに対してハンナラ党議員が慎重論が多かった。だが、経済政策の優先順位に関しては、両党議員とも失業問題以上に競争力強化のための構造調整を重視すると答えた。
毎日経済新聞が142人のオピニオンを対象に調査した結果では、経済の不確実性が減るとの回答が43・3%に達し、不確実性が高まる(12・8%)を大きく上回った。また、成長優先政策を求める回答(92・2%)が「分配優先」(7・8%)を圧倒した。オピニオンの1人は、「企業投資活性化と働き口創出を経済政策の中心にすえなければならない」と強調した。経済界でも、規制改革を通じた投資促進と働き口創出を通じた就業難解消(大韓商工会議所が国内企業240社を対象にした調査結果)を最優先で推進すべきだと要求している。
このような流れがある一方で、ウリ党は8カ月ぶりに再開した19日の党政会議で、「社会的弱者に対する分かち合いと配慮」を特に強く求めた。その弱者配慮の内容は、在来市場の活性化、非正規職に対する差別撤廃、老人・障害者への処遇改善など。同党幹部は、「成長論理に押され、おろそかにされたという認識が党内にある」と述べ、今後政府が政策に積極的に反映することを望んだ。
これに対して財政経済部の幹部は、「党政間の意見の違いはない。既存の政策を進めることで解決できる」としながらも、「1人当たり国民所得が2万㌦に行く前に所得分配政策を無理に推し進めれば、第2のアルゼンチンに転落しかねない」とけん制した。
学界からは、「雇用創出のための国家的プロジェクトとして韓国版ニューディール政策進めるべきだ」「労働政策が過度に労使寄りにならないように対話と妥協中心に改めてほしい」「外貨危機を乗り切ったように党派を超えて団結、政治的リーダーシップを発揮するのが重要だ」という声が多く聞かれた。
成長か分配か--。基盤を強化できた盧政権にとって、労働界の受け皿となる民労党も院内に取り組みことで、フリーハンド臨むことができ、調和のとれた政策展開が期待できそうだ。