韓国銀行は23日、「2003年国民計定」を発表、昨年の経済成長成長率は実質3・1%にとどまったことを明らかにした。これはIMF危機時のマイナス6・9%以来、最も低い水準だ。輸出は2ケタの高い伸びを示したが、内需が凍てつき、成長を支えることができなかった。
韓銀の暫定推計によると、昨年のGDP(国内)規模は6052億㌦(721兆ウオン)に達した。3・1%の成長の内訳をみると、輸出好調で製造業が4・5%増)、不動産活況で建設業8・1%の成長をとげた。だが、内需不振でサービス業はマイナス1・8%、農林漁業マイナス7・1%と好不況が際立った。
最終需要面で成長を支えたのは輸出(15・7%増)で、成長寄与度は2002年の42・7%から実に98・2%にまで高まった。逆に内需の寄与度は57・3%から1・8%に低下した。趙成種・韓銀経済統計局長は、「これはほとんど輸出だけで成長したことを意味する」と説明した。
成長墜落の最大要因は消費萎縮(マイナス1・4%)と分析されている。特に、乗用車、家電製品など耐久消費財はマイナス13・6%に落ち込んでおり、国民が消費をいかに抑えていたかを裏付けた。また、設備投資がマイナス1・5%を記録するなど投資面の萎縮も目立った。
一方、普通、1人当たり国民所得といわれる1人当たり名目国民総所得(GNI)は昨年1万2646㌦を記録、前年の1万1493㌦10%より増えた。過去最高だった1996年の1万2197㌦を上回る数値だ。だが、実質基準では1・8%増にすぎない。これは為替変動による影響が大きく、ウォン貨でみると、1438万ウオンから1507万ウオンと70万ウオンほど増えたにすぎず、国民が肌で感じる体感景気が凍り付いていることを示す。これは半導体、携帯電話、パソコンなど韓国の主要輸出品の価格が低下している半面、原油など輸入減資材価格が上昇、交易条件が2・6%悪化したたためだ。
今回のGDP統計は、基準年度を1995年から2000年に変更し、編成方式も新たな国際基準に改編しあ。その結果、GDP統計にはいくつかの大きな変化があった。まず、史上初めて私教育費が反映された。これは税金が賦課されていない家庭教師などに使われる資金で、4兆2000億¥ウオン¥と推定されている。また、2000年以降新たな産業として成長している超高速インターネットなどもGDP統計に反映した。
新たな項目の追加でGDP規模は、従来の基準の推定額(596兆)より88兆ウオンほど多くなっている。韓銀によると、従来の基準を適用すれば、昨年の経済成長率は2・7-2・8%にとどまったとみられる。
「それでも3%台の成長を遂げたのか。体感景気はむしろマイナスであり、体感失業率は20%近いのに。輸出好調というがその恩恵はとても感じられない。」
韓国銀行推計の昨年の経済成長率3.1%に対して、こんな指摘が聞かれた。それにしても、輸出が好調であれば、ある程度景気に反映されるはずだが、なぜ内需は萎縮したままなのか。
98・2対1・8。これは昨年の経済成長に対する輸出と内需の寄与度だ。もちろん98・2%が輸出の寄与度であり、輸出なしには成長がなかったことを裏付けた。
内需の不振で、国民経済の57%占めるサービス業の成長寄与度も急低下した。内需沈滞とサービス業不振は雇用事情を極度に悪化させ、輸出がいかに好調でも「雇用のない成長」につながっている。輸出と製造業の雇用創出能力には限界があるからだ。事実、昨年3・1%成長したにもかかわらず、数万の職場が消えてしまった。
サムスン研究所は最近、「深刻化する景気両極化、その原因と対策」と題する研究報告書で、90年代までは輸出好調、投資および雇用拡大、消費増加という公式が成立したが、最近になってこの公式が当てはまらなくなった原因について次のように分析。
輸出好調がIT(情報技術)など一部業種に限られており、部品・設備の高い依存のため輸出効果が国内産業界に拡散していない。昨年の設備投資の海外依存指数は139・6で、1年間に36・9%増えた。またIT部品の海外依存は40%、携帯電話部品43・9%に達する。一方で、企業は急変する環境権化に対応すべく投資より内部留保する傾向が強い。
輸出は好調でも、その輸出品に使われる設備や部品などの国産品使用比率が極めて低く、その果実が国内に波及していないという指摘は極めて重要だ。産業の足腰を急いで鍛え直す必要がありそうだ。