盧武鉉大統領は25日就任1周年を迎えたが、この1年間の国政運営に対する評価は厳しいものがある。特に、内需の極端な萎縮や信用不良者の増大などによる経済・民生不安が大きな不満となっており、盧大統領も景気回復を核心課題に設定、本格的に取り組む考えだ。就任2年目―「失われた信頼」を取り戻し、経済の活性化を望む声は大きい。
韓国日報とメディアリサーチの世論調査によると、盧大統領支持率は就任当初時の75%から37・7%に下がった。特に、選挙で盧大統領を選んだ有権者の31%がいまは支持しないと答えており、支持層の間にも同様がみられる。支持率が下がった最大の原因は経済政策で、57%の人が「経済不安」をあげた。それでも「再信任する」が49・7%に達した。
経済正義実践市民連合が各界専門家を対象にした調査結果でも、経済政策に対して「厳しい見方をしている。ただし、統治スタイルは「民主的に開放された」(49・5%)が「権威的だ」(24・5%)を大きく上回った。これは「国民の政府」が従来にない民主主義的な運営を実施していると高く評価した結果である。
毎日経済新聞の専門家グループで設問調査した結果によるとが「大体良くやった」との評価は34・6%にとどまり、盧大統領に対する国政評価は低かった。低評価の最大の理由にあげているのは「リーダーシップ不在」だ。国論の分裂、ロードマップ(工程表)は量産するが実践が乏しいとの批判が強い。だが、文化や福祉、環境については点数が高かった。
新政権1年間の「経済成績表」をみると、明暗が交差している。まず明の部分は、輸出が好調で外貨保有高も1500億㌦を突破し、通貨面でIMF危機の再発を予防した。だが、内需の極端な冷え込みと青年失業者増加、信用不良者急増など多くの「暗」が一挙に噴出した。
経済成長率は、2・9%と大幅に落ち込んだ。信用不良者は実に372万人に達し、可処分所得が大きく落ち込んでいる。失業率は3・4%(今年1月)だが、15歳から29歳の青年失業率は8・8%に達した。内需景気は下降を続け、昨年2月から10ヵ月連続前年比マイナスに陥った。ところが住宅価格が暴騰、庶民生活を圧迫している。
このような厳しい経済現実に対して、盧大統領は、「いまは景気管理と成長潜在力拡充のため集中するときだ。中長期的には成長と分配の均衡を実現しなければならないが、短期的課題としては景気回復に力点をおくしかない」と述べ、「成長と分配の同時追求路線」を一時的に軌道修正する考えを明らかにした。すでに「経済の成功なしに他の成功もない」(昨年8・15慶祝辞)との認識を固めていた。
このような成長重視のもと企業経営がしやすい環境を整える一方で、失業対策としての働き口創出、労使関係安定などにも全力を入れ、国民の期待に応えるリーダーシップ強化を図る。これは国民的一体感形成のため肝要となっている。国家目標として打ち出している国民所得2万㌦倍増のスローガンも国民の協力が前提となる。
その意味でも、所信表明などの言動は慎重になることが必要になる場合があるだろう。毎日経済新聞調査でも、「権威主義から脱却するの正しいが、国民を不安にし社会混乱をもたらしてはならない」という指摘は少なくなかった。
例えば、盧大統領は24日の放送記者クラブ招請会見で、「カード不良者は私がつくったものではない」と弁明したが、それで済む問題ではないだろう。事実、大統領就任後、信用不良者が70万人以上増えている。一過性の対策でなく根本的に解決する考えを表明しているが、「大統領の発言は影響が大きいだけに、十分な検討が必要だ」と言う指摘もある。
一方で、政治資金をめぐる検察捜査について、専門家の間では徹底捜査と、早期終結を求める声が相半ばしている。盧大統領は、「捜査が経済に負担となり、捜査を受ける個々人は苦痛であるが、今しばらく耐えてほしい」と述べ、根本解決を図る考えだ。
また、国論分裂の要因ともなっている労使問題について、これまで強調してきた「対話と妥協」から「法と原則」に重点を移しかえ、「少なくとも労使問題のために韓国への投資を嫌うことがないようにする」と明らかにしている。
就任1年目は分配重視だった。就任2年目に入った盧大統領は、国民の3割しか支持が得られない「3割大統領」から脱却するため、改革精神は堅持しながらも、抜本的な景気回復など実効性ある対策を講じることが重要な課題だろう。