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2004/02/13

<総合>成長優先 労使安定図る

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              李憲宰副総理

 盧武鉉大統領は10日、金振杓・副総理兼財政経済部長官の後任に李憲宰・元財経部長官を起用するなど閣僚級3人、次官級2人の小幅内閣改造を断行した。権奇洪・労働部長官の後任には金大煥・仁荷大教授、李永澤・国務調整室長後任には韓悳洙・産業研究院長がそれぞれ任命された。李副総理は11日の就任辞や記者会見で、経済政策の基調を成長優先に置く一方、労使関係を安定させ、市場の安定を図ると力説した。経済政策基調を明確に再設定したことで、経済界も歓迎している。
 
 今回の改造でもっとも注目されるのは、IMF危機後の金融改革を金融監督委員長として短期間で成功させた市場経済に極めて明るい李憲宰氏が「経済総理」に復帰した点だろう。盧大統領の就任要請を一度は断ったが、度重なる要請に、「大事な時期なので期待に応えるしかない」と決断した。市場関係者からは、不確実性を増している経済再生の切り札と期待を集めている。

 李副総理は今回、就任式を省略した代わり、財経部職員に宛てたメッセージ的な就任辞や記者会見で、今後の経済政策についての考え方をはっきり表明した。

 「いまは経済の持続的成長を図れるように長期的眼目でシステムを構築し、未来に対する希望と方向を提示しなければならない時だ」「すぐに構造的な問題を解決する根本対策はできなくても、当面しては働き場所を増やし民生を安定させる過渡期的な政策が急がれる」

 この中で、「わが経済は学習期間を与えるだけの暇がなく、アマチュアの試行錯誤を受け入れられるだけの余裕もない」と、過去1年間に各種ロードマップ(工程表)づくりに時間を消費してきた政府の政策運営方式を批判した。経済の不安定性や不確実性からの早期脱却をめざす決意を示したものだ。

 「成長か分配か」の論争について、「もちろん成長が優先だ。成長させながら分配問題を解決する」との立場を明確にし、特に企業が活力を回復できるように政策と制度を定着させると明らかにした。これまでは企業の負債問題の構造調整に注力してきたが、「これからは競争力と生産性を高める資産構造調整が必要だ」であり、企業が回復すれば家計問題も解決され雇用も増えるという考え方だ。

 また、金融政策と関連、「政府は市場に干渉しないのが基本だが、市場を損なうような利己利益のみ考える無理強いや火遊びは容認されない」と警告を発した。

 さらに労使関係についても、「新しいシステムと秩序に沿う新しい法と原則が定着する時までは、既存の法と原則を適用しなければならない」と述べ、その枠内で対話し妥協することを訴えた。この問題について新任の金大煥・労働部長官は、「わが経済の与件に照らしてみるとき、労使安定が経済・社会分野政策の核心であるので、大企業労組の戦闘的労働運動方式は変わらなければならない」と強調した。

 盧政権誕生から1年。今回の改革で、改革の基本方向は堅持しながらも、経済はより地に足がついた方向で安定重視の運営が行われそうだ。

 経済界は、新経済閣僚チームが積極的な投資活性化で沈滞した景気を甦らせてくれることを期待できるとの反応をみせた。また混戦なき経済政策の運営を注文した。