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2004/01/23

<総合>大企業投資意欲が回復

 大企業の投資意欲が盛り上がりを見せている。全国経済人連合会が大企業600社(売上基準)を対象に今年度投資計画を調査した結果、昨年度投資実績より17・1%増の54兆4000億ウオンに達した。一方、産業資源部が大企業200社を調査した結果でも、22・8%増の36兆2800億ウオンの投資を計画しており、このような投資が予定通り実施されれば、厳しさを増している雇用環境もかなり改善される見通しだ。

 全経連調査では514社が回答を寄せたが、17・1%の投資増加率は2002年実績3・2%、昨年実績12・4%を大きく上回るもので、2000年の24・3%に次ぐ高い数値だ。

 この投資意欲回復について、全経連関係者は、「昨年よりはるかに環境が良くなっていると判断したからだろう。世界経済の回復が加速化し、新型肺炎SASや北朝鮮核問題、家計負債などさまざまな不安要因が解消すると期待している」と分析した。

 業種別に投資動向をみると、重化学(35・7%増)など製造業(30・2%増)の伸びが目立ち、通信やサービス関係は比較的低調だ。特に、600大企業中、30大財閥グループの投資比重は80%を占め、その中でも5代グループは半導体、LCDなど先端業種を中心に大幅な投資増を計画しているのが目につく。内容面では、輸出好調を反映して既存の設備拡張が35・7%増、R&D(研究開発)投資が31・5%と好調だ。

 全経連は、このような投資増で12万7000人の新たな職場が生じると試算している。ちなみに20大グループは、今年の新規採用を昨年より3・3%多い5万5000人に増やすと明らかにしている。

 一方、産業資源部調査では、全経連調査の17・1%より多い22・8%の投資増を計画している。業種別にみると、電子製品(67・3%)、家電(23・%)、半導体(15・9%)、情報通信(15・%)などIT関連とセメント(46・9%)、自動車(14・0%)などが高い伸びを示しており、新製品投資に力を入れている。

 この2つの調査結果をみると、大企業の投資に関する限り明るい展望が見えるが、中小・零細企業を含めると大きな問題が浮かびかがってくる。グローバル展開ができ輸出比重も大きい大企業に比べ、内需中心の中小企業は内需不況に直面して投資意欲をそがれている厳しい現実がある。

 例えば、韓国銀行が調査・発表するGDP(国民総生産)統計である国民計定上の設備投資(韓国全企業の投資総計)は、昨年第2四半期(4-6月)を起点に減少に反転、昨年の設備投資も60兆3000億ウオンと推定され、96年の61兆3000億ウオンから足踏みしていることが分かる。

 この統計データが意味するのは、過去8年間の投資が大企業中心になされており、一方の中小企業はむしろ投資余力が萎えていることだ。大企業と中小企業の両極化現象が深刻化しているわけで、これの解決が急がれる。

 また、最近、成長潜在力の低下が問題になっているが、1995年-2002年の韓国の年平均設備投資増加率は3・1%にとどまり、先進国が国民所得1万㌦から2万㌦に向かう時代の投資増加率(米国4・8%、英国4・5%、日本8・8%)に比べはるかに低いことが明らかになっている。大企業を中心に投資意欲が回復している現状を捉え、これが中小・零細企業に行き渡るような投資活性化対策が求められよう。